第16話 歪な家庭

「………」


 今日はいつもより少し早く目が覚めてしまった。

 時計を見ると6時30分を指してた。

 二度寝をするか考えたがそういう気分にはならなかった。

 1個思いついたことがあるので体を起こし部屋を出る。

 そして俺は隣の部屋にノックをする。

 そうしてでてきたのは雅ではなく俺を嫌い、俺も嫌ってる妹の二輪桜だった。


「何、直哉兄さん。」

「……雅?」

「無視?気分悪。」

「お~い、雅〜。」

「直哉兄さん、無視しないで。」

「部屋に戻るか…」


 そうして俺は部屋に戻ろうとした。


「出来損ないが…」

「………」

「何か間違ってる?」

「口だけ達者になったな出来損ない。」

「は?!」

「俺がお前くらいのときは勉強なんてまともにせずともお前より上の点数だったぞ。」

「………」

「やっぱお前は口だけの弱者だな。

 お前みたいなカスが妹って雅が可愛そうだな。」

「まぁ、兄さん。一旦落ち着こ。

 俺だってこれが妹って嫌だよ。

 でも仕方ないって考えるしかないんだから。」

「………」


 どうやら起こしてしまったみたいだ。

 雅はドアを半開きの状態で顔を出してる。

 少しめんどくさそうな顔をしている。


「悪いな。ちょっと早く起きたから朝飯いるか聞きに来たんだ。」

「……何?」

「ホットサンド。」

「ハムとチーズで頼める?」

「数は?」

「一つでお願い。」

「分かった。出来たら呼ぶから呼ばれたら来い。」

「了解!ありがとね。」

「………」


 階段を降りて台所に向かう。


「な…」


 今日は雑音が珍しく短かった。

 食パンを4枚取り出し慣れた手付きで具材を挟んでいく。

 具材と言ってもハムとチーズだけだが…

 自腹で買ったホットサンドメーカーに挟みコンロで熱していく。


 多少熱したところでホットサンドメーカーを開き焼き目を確認する。

 そこそこ焼き目があるので反対にひっくり返し熱していく。


 確認をしたら自分の皿を2枚出してそこにホットサンドを乗せる。

 そして2つの皿を持って部屋に向かう。


 部屋に入ると雅がいた。


「呼ばれてから来いって言ったよな。」

「まぁ良いじゃない。」


 お互いに何も話すこと無くホットサンドを食べる。

 お互いの心境は今じゃないとしかわからなかった。


「時間だ。学校行ってくる。」

「洗い物はこっちでやっとくよ。」

「よろしく。」

「行ってら。」

「………」


 鞄を持って登校するのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る