第8話 最悪の朝

 思考が上手くまとまらない。

 頭がボーッとする。

 窓からの朝日で目が覚める。

 あいも変わらず閑散とした部屋が目に入る。

 必要最低限の物以外は随分と前に捨ててしまった。

 時計を見ると6時を示していた。

 登校するのは7時30分ぐらいに家を出ればいいのでまた布団に潜り二度寝を行う。

 瞼にだんだんと力が入らなくなっていき眠りに落ちるのだった。



 ブー、ブー


 その音が聞こえるとともに体を起こす。

 もう、7時30分前のようだ。

 持って行く物は既にカバンに詰めていたので制服に着替えるだけだった。

 少し急ぎ目で着替えてカバンを手に取り玄関に向かう。


 変わらない日常。

 そんな事を考えながらコンビニによって学校に向かう。


 駅前を通り交差点まで行くと同じ制服を着た同年代が増えてきた。

 頭を空っぽにしながら学校に向かう。


「な、直哉!」

「…?あぁぁ、谷川さんですか…」


 声をかけてきたのは中学生時代の部活のマネージャーをしていた谷川澪璃。

 俺が嫌ってるクソ野郎の一人だ。


「直哉!い、一緒に学校に行かない?」

「別にいいですよ。」


 その一言だけ返してあげると彼女は嬉しそうに俺の隣に来た。

 お互いに何かを喋るということはなかった。

 彼女はこちらをチラチラ見ていたが俺は頭を空っぽにしながら学校に向かうことに集中する。


 俺たちは一言も喋ることなく下駄箱についた。

 そのタイミングで後ろからハプニングが起こる。


「な・お・やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「優kぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

「な、直哉!」


 頭を空っぽにしていたせいだろうか。

 後ろからの急な飛び蹴りに対応できず俺は前方に蹴飛ばされた。

 そして蹴り飛ばしやがった本人は清々しい笑顔で


「直哉おはよう!」


 なんて言ってやがる。

 俺は立ち上がりながら


「おい、ふざけてんのか、優樹ぃぃぃ!!

 朝っぱらから蹴りをかましてくるなんて頭湧いてんのか!!

 上等だよ、感謝の気持ちとして拳を5発くれてやろう。」


 と少し低めのトーンで叫ぶ。

 それに対して優樹は


「やっべ!今回のはガチギレっぽいな。

 こういうときは逃げるに限る!

 あばよ、相棒!」

「待て!

 優樹逃げてんじゃねぇよ!

 このクソ野郎が!!」


 逃げやがった。

 右足に痛みを感じる。

 先程までは怒りで分からなかったんだろうが冷静になるとおそらく蹴飛ばされたときに足を捻ってしまったのだろう。

 少し不安定な歩きで下駄箱に上靴を取りに行く。


「チッ、ついてねぇな。

 保健室ってどこだっけな?」


 近くにある校内の案内図を確認する。

 そして俺は保健室に向かうのだった。



「な、直哉。」


 残された彼女はいることを忘れられたかのように気にされることなくその場に残されていた。

 その後彼女は彼のことを心配しながら教室に向かうのだった。

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