第4話 新城 真理

「えっと、私から話すね。

 一応自己紹介したけどもう一回、新城しんじょう真理まりって言います。」


 ===


 私の家と二輪家は家族ぐるみの付き合いだった。

 お互いの父と母が高校時代の友人で今もなお一緒に遊びに行ったりするほど仲が良い。

 そんな関係だからか、私は直哉とよく遊んだ。

 彼の環境をなんとなく理解しているつもりだった。

 私の隣にはいつも直哉がいた。

 これからも居てくれる。

 …そう思っていた。

 でも私は彼に行ってはいけないことを言ってしまった。

 ほんの少しの好奇心だった。

 だが、関係が崩れるにはその言葉は強すぎた。


「私は、直哉くんよりお兄さんの響輝くんのほうが好みだからごめんね。」


 その言葉を聞いた彼は一瞬で変貌した。

 彼の目は光を灯しておらずまるでゴミを見るかのような視線だった。

 やってしまった!

 そう思い声をかける前に彼は振り返り


「終わりだね。」


 その一言を残して帰っていった。

 その頃の私はその言葉の意味を深く理解してはいなかったが取り返しの付かないやらかしということは理解できた。

 しかし子供特有の一晩すればどうにかなるという考えがよぎり声をかけることなく帰ってしまった。

 その日以降彼は私に声をかけず私から声をかけてもすぐに話しを切り上げられてまともに話す機会を失った。


 年々と彼は私を私と見なくなっていった。

 最初は下の名前で読んでくれてたのが名字になり今では名前ですら読んでくれなくなった。

 伝えたいことがあっても人を介して伝えてきたり、私から話しかけると嫌そうな表情や無視をされるようになった。

 最近では私の名前を言っても誰?という感じになってきてるとのことだ。


 ===


「……って感じかな?」


 説明が終わったあとの雰囲気は最悪だった。

 クラスメイトは

(もう片方はそこまで重くないよな?)

 そんな期待を込めた眼差しで片方を見るとそちらの視線はさまよっていた。

 というより居心地が悪いから逃げたいというような目だった。

 クラスメイトは

(お前もかよ!)

 といった気持ちでいっぱいだった。


 その後、気まずい雰囲気の中解散した。

 しかし、そんな面白そうなこと逃すわけがなかった。

 その場でKINEを交換して本人となにか知ってそうなやつを除いたグループが出来上がってた。

 このグループは彼の話題が上がるたびにメンバーが増えてるらしい。

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