第6話 まだ見ぬ邪心

我には闘気の才能がない、いや違うな。才能が邪神によって封印されていると言うことがわかった。これは非常にまずい。


なぜなら、あと1〜2年くらい経ったら、邪神の使徒が我を殺しにくる。それまでに力をつけねばならないからだ。


まぁ、このくらいのハンデをやらんといい勝負にならんか。


だが、今のままでは邪神の使徒に勝てないのもまた事実。そこで、IQ423の我は考えた。


『筋トレをしよう』と。


健康で頑丈な体には、闘気が宿る。(まだ闘気を諦めきれてない)

そう言われている。(言われていません)


それに、闘気なんてチート能力を、チートな我が使ってしまってはストーリー構成的に面白くないではないか。


だから、筋トレだ。筋肉こそが世界を制する。(制してません)

ハハ!!世界の真理を見つけてしまったようだな!!!





   ◇





ここは、過去も未来もない、無垢だけがある世界。


「彼はどうだい?君のお眼鏡にかなったのかな?」


ただ、人の行いを見つめ、ただ嘲笑う。そのための世界。


「いいえ、ものすごく退屈だわ。それに、なんでか生まれた瞬間から頭がおかしいし、あれはダメっぽいわ。早く喚き散らかして死んじゃえばいいのに。そっちの方がよっぽど面白い。」


無垢を埋めるべく、人の世に、何かを見出さんとする世界。


「ふぅん。じゃあ、他の人に変える?別にこいつだけを見てる必要なんてないし。」


2人の男女が、人の世で神と呼ばれ畏怖される者が、住まう世界。


「遠慮しておくや。このバカが死ぬ姿をこの目に収めないと気持ち的に次の奴にいけやしないわ。別に見ていてもいいでしょう?」


女は、が空っぽなグラスを満たしてくれることに賭ける。


「........彼は、君にとって特別なのかい?いや、別に構わないさ。気にしてないよ。人は所詮創られたもの。そんなちっぽけな物に僕らの乾きを満たせるはずがないのだから。」


男は、が曇ってしまったグラスを満たしてくれることに懸ける。


「この世界は残酷なんだ。普通に生きることもままならないほどね。」


いま、賽は投げられた。


ひどく歪んだ笑みと、美しく整えられた笑みを添えて。








あとがき


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