第5話 きっと覚醒する才能

あれから本当に、あの男召喚士くそぼけは10時間逃げる俺のことを追い回して、ボコスカ木剣で殴りやがった。腕と足の骨折れてたんだが?まぁ、なんか起きたら治ってた。その代わり、マリーが体調崩してた。主人公を見捨てた罰である。甘んじて受けるんだ。





.........逃げていたというのは、あれだ。戦略敵撤退だ。あまり深く考えるなよ、同志どくしゃたちよ。


閑話休題。


結果として、闘気は習得できなかった。ふざけるなよ。つまり我は、あのクソボケに殴られただけではないか。殴られ損である。


後々、女召喚士に聞いたのだが闘気は、基本的にみんなの体に流れている。それを知覚することが難しいらしい。知覚するには、瞑想か、死を感じることが効果的とのこと。


まぁ、あのクソボケ程度の木剣では我に死を感じさせることができなかった。そういうことだ。そうに違いない!!才能がないと言うわけではないぞ!!断じて!我は主人公だからな!



まぁ、いつ邪神がこの世を脅かすのかもわからないので、あの日から毎日瞑想をしてなんとか闘気を知覚しようとしているのだ。


1ヶ月もな!



ただ、一カ月たっても知覚できないのは流石におかしいと思う。召喚主たちも首をかしげていた。



おかしい....



ん...?


つまり.....



なるほど。



我は窓を開けて、夜の星々にそっと呟いた。


「そろそろ荒れるな。我が領域を脅かすものが来る。」


「必ず守り抜いて見せよう」


覚醒イベントが来る。来ないとおかしい。









    ◇







そうと決まれば話は早い。治癒闘術だ。本来は、身体強化などを極めてから手を出す予定だったのだが、先にこっちを修めてしまおう。


「おい、女召喚士。我に治癒闘術の教えを授けろ。それがきっと、汝を助けることになる。」


「ルークちゃん、でも闘気まだわからないんでしょ?まだ3歳なんだから焦らずゆっくりやればいいのよ。」


くそ、時間がないのだ。もうすぐ貴様らはピンチに陥るのだぞ。きっと邪神から、我を殺すための刺客が送られてくる。


「時間がないのだ。教えて欲しい」


「んんー、まぁわかったわ。」


そう言って少し悩んでから女召喚士は、我の左側の顎に左手を当て、右手を大きく振りかぶった。



「...おい、なにをしている。」


「大丈夫よ、ルークちゃん。痛いのは一瞬。すぐ終わるからね」


「や、やめ...」


バチーーン!!


女召喚士の右手の手のひらが我の頬に思い切りぶつけられる。ビンタされたのだ。


「ごめんなさいね、ルークちゃん。今から言うことで泣かないで欲しいのだけど.....」


地面に崩れ落ち、悶絶している我を心配そうに見ながら女召喚士はこう言った。


「才能ゼロよ。治癒に関してはそもそもルークちゃんでは使えないわ。」




え.....。我、主人公ぞ??そんなはずないだろう。さては



「お前はさては邪神の手先だな?この詐欺師が!我は騙されんぞ。成敗してくれるわ!」


「.......もう一発欲しい?」



「.........いいえ」



闘気なんて、大嫌いだ。








あとがき


こんにちは。読んでくださりありがとうございます。プロットを作り直した関係で、少し話を改定しました。



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