第4話 お出かけだよ、弟くん。

「ねぇ、弟くん。お出かけしよっか」


「突然どうしたのか、って?」


「それはね、弟くんは、疲れていて外に遊びにいく事も少ないでしょ?」


「だからね、お姉ちゃんは外に連れて行ってあげたいの」


「ん? いいけど準備とか全然してないって?」


「それなら大丈夫だよ、弟くん」


「お出かけはするけど、お家の中でするから、そのままで問題なしだよ」


「意味が分からないって顔してるね、ふふ」


「そうだよね、お家の中にいるのに、お出かけなんておかしいよね」


「えっとねー、実際には、お家の中にいるけど」


「お外にいる気分を味わうって感じかな?」


「目をつむって、自然の音を流して、その音に耳を傾けていたら」


「もうそこは、お外と同じような感じなんだよ」


「想像の力を借りる必要はあるけどね」


「本当はね、弟くんをお外に連れ出したい気持ちもあるんだけど」


「疲れもたまってる弟くんを連れ出しても」


「疲れも取れず、逆に疲れがたまっちゃうかもしれないでしょ?」


「だから、お家の中でゆったりと、リラックスしながら」


「お出かけが出来たら、その心配も無くなっちゃうの」


「それに自然の音には、リラックス効果もあるから、きっと癒されるよ」


「だからね? お姉ちゃんと一緒にお出かけしてくれるかな?」


「……うん。よかった」


「それじゃ、お姉ちゃんのお膝の所においで」


//SE:太ももをポンポンと叩く音

//SE:太ももに頭を乗せる音


(正面、中)ここから

「はーい、いいこいいこ、ふふ」


「それじゃ、さっそくお出かけ始めよっか」


「うふふ、お出かけを始めるってなんかおかしいね」


「じゃ改めて、お出かけにしゅっぱーつ」


//SE:スマホをタップする音

//SE:せせらぎと、鳥のさえずりの音、ここから流し続ける。


「弟くん、まずは目を閉じよっか。ゆっくりとまぶたが閉じてくる」


「これからお姉ちゃんが言う事を参考に、想像を膨らませてみてね」


「耳を良く澄ましてみて……ここは小川の流れる側だよ」


「さらさらとお耳に心地よく、小川の流れる音が聞こえてくるね」


「ほら、よーく聞いてみて。小鳥たちの鳴き声も聞こえるね」


「今いる小川の近くにはね、大きな木もあって」


「私達は、その大きな木の下にいます」


「ここは、とっても緑にあふれていて、自然が豊かな場所です」


「都会の喧騒から離れたこの場所では」


「なんだか空気もおいしく感じられる気がするね」


「そうだ、せっかくだから深呼吸して」


「この空気をもっと堪能してみよっか」


「鼻から息を吸ってー、口から息を吐いてー」


「普段は、無意識がやってくれている呼吸を」


「自分の意志でやってみると、心地よく感じる気がするね」


「心地いいから、もう2回くらいやってみよっか」


「私が言うのに合わせなくていいから」


「弟くんのやりやすいペースでやってね」


「鼻から息を吸ってー、口から息を吐いてー」


「鼻から息を吸ってー、口から息を吐いてー」


「はーい、深呼吸は終わりです」


「弟くんが続けたいと思っていたら、深呼吸続けていて大丈夫だからね」


「深呼吸をしてリラックスしてきたけど」


「もっとリラックスするために、次は体の力を抜いてみよっか」


「体ってね、無意識に力が入ってる時もあるんだよ」


「深呼吸と同じように、体に意識を向けてみると」


「力も抜きやすくなるからやってみよっか」


「やる事は簡単で、体にギューっと力を入れて」


「一気に、ふわーっと力を抜くんだよ」


「それじゃ、実際にやってみよっか」


「まずは、右腕からね。指先から、肩まで意識を向けてみて」


「意識を向けた右腕に、ギューって力を入れてみて」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「もう一回、右腕に意識を向けて、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「右腕から力が抜けて、重くて、もう動かしたくない」


「次は、左腕ね。指先から肩まで意識を向けて」


「意識を向けた左腕に、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「もう一度、左腕に意識を向けて、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「左腕から力が抜けて、重くて、もう動かしたくない」


「次は、右足。つま先から、付け根の所まで意識を向けてー」


「意識を向けた右足に、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「もう一度、右足に意識を向けて、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「右足から力が抜けて、重くて、もう動かしたくない」


「次は、左足。つま先から、付け根の所まで意識を向けてー」


「意識を向けた左足に、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「もう一度、左足に意識を向けて、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「左足から力が抜けて、重くて、もう動かしたくない」


「次は、お腹、お腹周りに意識を向けてー」


「意識を向けたお腹周りに、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「お腹周りから力が抜けて、重くて、もう動かしたくない」


「最後に頭、首のあたりから、頭のてっぺんまで意識を向けてー」


「意識を向けた頭に、ギューって力を入れてー」


「いち、にー、さん、しー、ご。はい、一気にふわーっと力を抜いてー」


「頭から力が抜けて、重くて、もう動かしたくない」


「全身から力が抜けて、心地いい……心地いい……」


「この心地よさを感じながら、想像の世界を楽しみましょう」


「私達は今、小川の近くにある大きな木の下にいます」


「上を見ると、大きな木の葉っぱの隙間からきらきらと」


「お日様の光が降り注いでいます」


「降り注いでいる光に全身が照らされ、体がぽかぽかとしています」


「ぽかぽかしているのは体だけでなく、心もぽかぽかと温かくしてくれます」


「時折なびく風が、全身を伝い、さらに心地よくて、気持ちいい」


ここまで

「ここは、想像の世界なので弟くんにとって、気持ちのいい事しか起こりません」


(右、近)

「こんな風にいきなり近くで話しかけたり」


(左、近)

「突然こっちから話しかけちゃったりも出来ます」


(右、近)

「うふふ、こんな風に、いきなり近くで話しかけるとゾクゾクしちゃうね」


(左、近)

「ふー、でも、このゾクゾクしちゃうのが気持ちいいね」ふー、は息を吹きかける感じで。


(右、近)

「弟くん、いつも頑張っていて、えらいえらい」


(左、近)

「お姉ちゃんにとって、すごく自慢の弟くんだよ」


(右、近)

「だーい好きだよ、弟くん。うふふ」


(左、近)

「こんなに気持ちいいと、ずっとこのままでいたくなっちゃうね」


(右、近)

「でも、ずっとだと慣れちゃうから」


(左、近)

「残念だけど、そろそろ終わりにしよっか」


//SE:せせらぎ、鳥のさえずり、ここまで。15秒くらいかけてフェードアウト。


(正面、中)ここから

「そのままの体勢で、両手をぐー、ぱー、ってやってみよっか」


「ぐー、ぱー、ぐー、ぱー、ぐー、ぱー」


「だんだんと全身に力が入って行く」


「一回深呼吸やってみよっか」


「鼻から息を吸ってー、口から息を吐いてー」


「次は、全身に力をギューって入れてみて」


「ギュー、はい、一気に力を抜いてー」


「最後に伸びをしよっか」


「両手を前に出して、手を組んでみて」


「ぐーっと伸ばしてみてー、力を抜いてー」


「もう一回、ぐーっと伸ばしてー、力を抜いてー」


「はーい、体に力が戻ってきたかな?」


「これで、お出かけは終了です」


「どうだったかな? 楽しんでもらえたら嬉しいんだけど」


「楽しかった? ホントに? それならよかったよ」


「またお出かけしたくなったらいつでも言ってね」

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