第2話 春の山
あの後先輩に迎えに来てもらい、山と呼ばれる場所に着いた。
そこは半年前にも一度だけ、訪れたことがある場所だった。
「山で一体何をするんですか?」
シンプルに疑問に思ったことを聞いてみた。
『ちょっと待ってれば分かるよ、君はこういうの好きだと思うんだ』
先輩の言うことを不思議に思いながら数分待っていると、
パァーーーーーン キィーーーー!!!
何台もの車が凄いスピードでカーブに進入してきた。
100キロは出ていないはずだが、それにしても速い進入速度だった。
私は何年ぶりかに、胸がわくわくするのを感じた。
「先輩、これはもしかして山を攻めてるんですか?」
『その通り!楽しいでしょ?横乗ってみたくない?』
予想外にも横乗りのお誘いを受けた。
こんな機会は滅多にないと思い、先輩に、知り合いに頼むようお願いした。
『この子のこと、横乗りさせてあげて!』
そういって先輩はロードスターに乗っている男の子のところへ、案内してくれた。
??『こんばんは~』
「こんばんは…」
??『山は初めてかな?』
「はい、初めて来ました。」
??『先に言っておくね、俺そんな攻めないからね笑』
「?はい、お願いします」
初対面の人と話すのが苦手な私は、いまいちその人の事を掴めずにいた。
そして車内に乗り込み一言
??『あ、そういえば彼氏とかっている?』
「いないですけど…」
??『あ、じゃあ死んでもいっか!』
この人は何を急に聞き出すかと思ったら、死んでもいいと言い出した。
私はこの時頭の理解が追い付かず笑ってしまった。
不覚にもこの人のことを面白いと思った。
「まあ確かにそうですね笑」
そう返答するとその人も笑っていてなんてギャグセンスの高い人だ、と勝手に考えていた。
話していると前が出発の合図を出して走り始めた。
それに続いて私たちも走り出し、山を攻め始めた。
本人は攻めないと言っていたが、明らかにブレーキングポイントがおかしい。後から先輩に聞くと、この男の人はブレーキを踏むのが遅い事で有名だそうだ。
私はこの時初めて山の楽しさとこの人のやばさを感じた。
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