死にたがり少女は今日も生きる
野本 響希
第1話 春
今年もまた、春を迎えてしまった。 死にたいと何度も思いながら。
朝日が昇る時間に山に登って飛び降りようとしたけれど、友だちが異変に気が付いて未遂に終わってしまった。誰も私を死なせてくれないし、生きたくないことも解ってくれない。
「生きてれば良いことあるよ」「人生はこれからだよ」「まだ若い」
そんな綺麗事、私には一切響かない。19年生きたうちの10年は、家族から暴言暴力を受けながら育ち、小中高ではいじめを受けながら生活してきた。これのどこに生きていれば良いことなんてあるのか。
父親は妊娠が発覚した途端に逃げ、母親は自分の祖父母に私を預けっぱなしにして育児放棄。一体どこを見たら良いことがあるのか。私より悲惨な人生を生きている人が沢山いると分かっていても、私は死にたがりをやめられない。
そんな事を考えながら私は今、呑気に片手にビールを持ちながら桜の木の下で煙草を口にしている。
「夜桜も綺麗だな。」
夜中なので人通りもほとんどなく、未成年だから本当はだめだが晩酌をしている。
私はギターを弾くことが好きだから、最高のシチュエーションの中1人ギターを弾いている。
「なんか面白いこと起きないかなあ」
そんな事を思っていると、近所の車好きの先輩から一通の連絡があった。
『今から山行くけど来てみない?』
あまりにも急なお誘いだったのでびっくりはしたが、興味が湧いたので行くことにした。
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