第26話

エイミィの加護を与えたことでダンジョンモンスター達は次々とヒトの姿へと変えていく一方、俺はモニターに表示された文字に目を疑った。


【ゴッドスキル:リンク】


新たな【ゴッドスキル】ってどういう事だ?


俺は今すぐにでもエイミィに問い詰めたい気持ちであるが流石に今彼女に問いかけるのは難しい。とりあえずこれは一旦保留にしてこの場をやり過ごすしかないな。


ダンジョンモンスター達が自分の姿を確認するとすぐさまエイミィを前に跪いた。まあ目の前で神の奇跡が起こったのだからそうなってもおかしくない・・・素のエイミィを知る俺からすれば違和感を拭えないんだがな。


とりあえずヒト型へ変わったダンジョンモンスター・・・いや、もうモンスターじゃないから今後はダンジョンの住民と呼ぶべきだな・・・新たな住民たちは新しい肉体の確認のために自分たちがいたフロアに戻り一時解散となった。


確認後は各フロアボスの指示の下、地下45階層で住居作成を開始する。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「さて、エイミィこれはどういうことだ?」

「どういうことって何の事?」


地下45階層で解散した後、俺はエイミィを呼び【ゴッドスキル】について問い詰めた。


「何ってお前が俺に与えた新しい【ゴッドスキル】の事だよ・・・なんだよ【ゴッドスキル:リンク】って?」


俺はエイミィに追加された自分のスキルを見せると彼女は俺のモニターを凝視した


「っちょ!私じゃないわよ。第一私が与えられる【ゴッドスキル】は創造系だけでそういうのは・・・」


エイミィが何か言いかけると、誰が与えたのか気が付いたのかすぐにある人物を呼び寄せた。


「あら・・・思ったよりも気付くのが早かったですね」


やって来たのはアルラだった・・・まあエイミィ以外で【ゴッドスキル】を与えられる人物と言ったら彼女しかいないわな。


「私が住民たちに加護を与えるタイミングで光輝に【スキル】を与えたわね」

「ええ、あのタイミングなら光輝さんに神の加護を与えても違和感ないと思いまして。それに私もここでお世話になるのです、光輝さんに力を貸すのは当然ではないでしょうか?」


エイミィが何か不満そうな顔をしているが、アルラはにこやかにしていた。


「ところでアルラ。この【ゴッドスキル:リンク】ってどういう【スキル】なんだ?」

「【ゴッドスキル:リンク】とはいわば魂との繋がりを得られる【スキル】。自分と契約した相手の【スキル】を自分の【スキル】として使用することが可能です。もちろん逆もしかり」

「なんか面白そうな【スキル】だけど、契約ってどういうのだ?」

「人同士の場合、忠誠の誓いや敬服の意を表した時にこの【スキル】で結ばれるのです。あと【テイムスキル】でテイムしたモンスターでも【ゴッドスキル:リンク】は発動します。あと・・・」

「って事は俺はスライムたちの【スキル】も使えるようになったのか」


確かスライムたちは【調合スキル】を習得していたな。


俺はモニターを確認すると確かに俺が所有する【スキル】の一覧に赤文字で【調合スキル】が表示されていた。【ゴッドスキル:リンク】で得たスキルは赤文字で表示されるみたいだな。その他にも・・・・


肉体強化、重力魔法、圧力抵抗、錬金魔法、五感強化、裁縫スキル、天候魔法、武器強化、威圧、威圧抵抗、飛行魔法、呪無効化、状態異常無効化、痛覚無効化、超速自然回復、超速再生、結界魔法、魔力感知、魔力視覚化、精神強化、思考加速、並列思考、魔法無力化、空間操作、結界魔法、魔力強化、未来予知、万能魔法、魔法改造、詠唱破棄、魔法保留化、時空魔法、魂干渉、etc.・・・


ってなんじゃこりゃ?!


「おいおい、なんかとんでもないスキルが沢山あるんだが!」

「っちょ!何よコレ?!明らかにオーバースペックすぎるでしょ!」

「あ・・・やはりありましたか。フロアボスが持つ能力も光輝さんが使えるのです。彼らも光輝さんの配下であり忠誠の誓をしていますから」

「「忠誠の誓っていつ・・・ってあの時か!」」


俺とエイミィは初めて彼らと出会った時の事を思い出した。確かにあの時片膝をついて頭を下げていたな。


ちょっと待て・・・ってことは何か?フロアボスが持つ能力が全部俺に集まったって事なのか?もしかして俺最強?


「でもくれぐれもフロアボスの能力は使わないでください」

「え?なんで?」

「フロアボスの力は巨大すぎます。例えばグラムさんが持つ肉体強化とか、発動すれば光輝さんの肉体は耐えられません。軽く殴っただけで骨が複雑骨折するでしょう。」


アルラの説明を聞いて何となく想像したがまさに身を亡ぼす力みたいだな。


「ただ使える能力もありますのでそれは今後エイミィや私と一緒に特訓した方が良いですね」


確かに五感強化や水中呼吸とかなんか使ってみたいのはあるしダンジョンを直接見るときに活用はできそうだ。


「そういえばこの【スキル】はテイムしたモンスターにもつけられるのか?」

「はい、それで提案なのですが光輝さん今時間大丈夫ですか?」

「ん?まぁ、空いていると言えば空いているが」

「では早速11階層に行きましょう」

「「え?」」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


アルラに連れて行かれるままに11階層に向かうと、巨大な宮殿の前にグラムが立っていた。


11階層のフロアボス専用ステージ『巨神宮』。グラムが巨大化しても手狭に感じられないように設計しているためギミックなどは殆ど無く、単純に広いステージになっている。最初のボス戦という事もありシンプルな作りであるがシンプルな戦い方をするグラムにはもってこいなステージである。


「コウキ様、お待ちしていました。準備は整っています」

「準備?何のことだ?」

「嬢ちゃんからコウキ様の為に儂が担当するフロアのダンジョンモンスター全員を集めるようにと言われたのですが」


はぁ?アルラ何勝手にやっているの?


「アルラダンジョンモンスターを集めるってどういうことだ?っというか10階層までのダンジョンモンスター全員集めたって事はダンジョンは殆ど機能していないんじゃ?」

「ご安心ください、現在4階層までの挑戦者たちはグンナル達の指示の下、テイム済みのモンスター達で対応しています。少しくらいの間なら問題ありません」


アルラはそう言って巨神宮へ移動するが俺は未だに理解が追い付かない・・・何が起きているんだ?


仕方なく俺はアルラとグラムについていき、巨神宮の奥へ進むと部屋全体が埋め尽くされるほどのダンジョンモンスター達が集まっていた。これで10階層までなんだからもし全てのダンジョンモンスターが集まったらどうなるんだ?


「よしお前ら!我らの主がいらっしゃったぞ!」


グラムの一声で部屋中のダンジョンモンスター達が一斉に俺の方へ顔を向けた。ちょっと待て・・・ついこの前100人くらいの前に立っただけで緊張しまくったんだぞ。色んな意味で冷や汗が止まらない。


「お前たちの役割はここに集まる前に説明した通りだ。我々は女神エイミィ様を守護するのが役目、そしてコウキ様はこのダンジョンを生み出した我らの創造主でもある」


グラムはそう言うと俺の前に片膝をついて頭を下げた。


「コウキ様、我ら一同ここに忠誠を誓わせていただきます」


グラムの宣言と共にダンジョンモンスター達も同じような姿勢を取ったり目を閉じて頭を下げていた。


そしてその瞬間予想通りモニターが出現してテイム成功のメッセージが出現した。


『オリジンダンジョン1~11階層のモンスターのテイムに成功しました』





・・・・なんか雑になっていないか?

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