第14話

「エイミィちゃんの種族講座!!えーい!」


俺の目の前にはハイテンションで眼鏡をかけた女神、エイミィが立っていた。なお部屋には俺とエイミィだけの為、素の状態でいる。


「エイミィ、随分とテンションが高いな」

「光輝、随分と乗り悪いわね。まあいいわ、今日は勉強会をしようと思います」

「勉強というかこの世界に住む種族の事だよな。色々と気になっていたし、正直こうした時間はありがたい」

「そうね、まずこの世界には大きく分けて14の種族が存在するわ。人間族、エルフ族、ドワーフ族、天使族、獣人族、魔人族、有鱗族、有翼族、妖人族、機甲人族、蟲人族、植人族、屍人族、神霊族ね。これらの種族が私の加護、つまり【スキル】を与えることが出来る種族ね」


RPGでは定番の種族がかなりいたが、いくつか聞いたことが無い種族もいるみたいだ。


「大きく分けてって事は細かく分けるともっと増えるのか?」

「光輝の世界でいう人種の違いね。肌の色の違いとか骨格の違いとかあるでしょ?エルフで例えるならダークエルフやハイエルフとかかな」

「なるほど、獣人とかも犬とか熊とか色々といそうだし、細かく見たらキリがないな」

「そうねそれじゃあ軽く説明するわね」


人間族

この世界の約4割が占めており、最も文化が発達した種族。他種族と比べると身体能力や魔力量は低いが文明の力もあり取得できるスキル数は最も多い。スキルを極め、特定の修行を行うことで上位種のハイヒューマンになれるらしいが実例は殆どない。


エルフ族

寿命1000年ほどの長寿種族。始祖は風の精霊のシルフで、精霊の役目を終えたまたは放棄した者がエルフへと変異した。20歳までは人間と変わらない成長速度だが青年期が異常に長く800年ぐらい過ぎたら老化が始まる。上位種としてハイエルフが存在する。スキルの恩恵が受けづらいが魔力量は種族の中では上位。亜種としてダークエルフが存在する。


ドワーフ族

寿命500年の長寿種族。始祖は土の精霊のノームが精霊の役目を終えたまたは放棄した者が変異した。体系はずんぐりむっくりだけでなく人間と変わらない体系のもいる。手先が器用で職人気質な者が殆ど。洞窟や地下で暮らすドワーフをアンダードワーフ、地上で暮らすドワーフをアウトドワーフと呼ばれている。上位種はグランドワーフである。


天使族

不老で寿命が無いが不死ではない種族。始祖は光の精霊のウィルオウィスプが精霊の役目を終えたまたは放棄した者が変異した。始めは神の使いとして生み出された種族であるが現在は殆どが神の下から離れて独自の文明を作り上げている。人口は機甲人族に次いで低い。魔力ではなく神力と呼ばれる特殊な術を使う。神に対して従順であるが自分の意志で逆らった場合、堕天して翼が黒くなり、神力は殆ど使えなくなる。種によって階級が存在する。


獣人族

人間族の次に人口が多く、最も種類が多い種族。哺乳類の魔物がヒト型になった場合になる。寿命は種類によって異なるが基本的に人間よりも短い。基本的に森の中で暮らす種族であるがここ200年で他種族との交流が増えている。上位種として幻獣種が存在する。


魔人族

始祖は闇の精霊のシェードが精霊の役目を終えたまたは放棄した者が変異した。魔力量はエルフ族に次いで高く、非常に好戦的で争いが絶えない種族であったが400年前に魔王が誕生し、他の種をまとめ上げることに成功した。その後人間族と変わらない文明まで成長させた。上位種として大罪種が存在する。


有鱗族

始祖は水の精霊のウンディーネと火の精霊のイフリートが精霊の役目を終えたまたは放棄した者が変異した。爬虫類系と魚系の生き物や魔物がヒト型になった種族。肌の一部が鱗に覆われているのが特徴。魚系の有鱗族であれば水中での生活も可能。


有翼族

鳥類の魔物がヒト型になった種族。天使族のように翼を生やした種族であるが神力は使えず魔力を使用する。身体能力が高く特に視力が非常に高いのが特徴。高い場所を好み山などで暮らしている。獣人族同様、上位種として幻獣種が存在する。


妖人族

カグツチと呼ばれる国に住む種族。龍脈からあふれ出る特殊な魔力による影響で変異した『妖怪』と呼ばれる魔物がヒト型になった種族。魔力ではなく体内に宿る『妖力』を使用することが可能。気配や幻術などを操ることに長けている。人間族との共存を選び暮らしている。


機甲人族

人工物で出来た身体を持つ種族。元々は延命手段として発明された人形の身体に魂を宿らせる核と記憶を保存する装置を搭載した存在だったが、魂に【スキル】が宿ることによって種族として認知されるようになった。人間と変わらない生活を送るため五感なども持っており、食事をとることで栄養をエネルギーに変換することが可能。摂取した食べ物は全て分解され魔力へと変換されるため排泄は無い。破損した箇所は修復可能であれば何度でも修復可能。


蟲人族

虫型の魔物がヒト型になった種族。人間と変わらない外見を持つが、肌は外骨格で覆われ、目も複眼なのが特徴。また昆虫同様、痛覚が感じない。人型になった例がかなり低い種族のため、人口も多くない。


植人族

植物系の魔物がヒト型に変異した種族。頭にベースとなった植物の花か葉っぱが生えているのが特徴。種族としては最も弱いが長寿で長い年月をかけて成長する種族。


屍人族

ヴァンパイアやゾンビなど不死属性の魔物が加護を得たことで変異した種族。人との交流を好まず一人でひっそりと暮らすことを選ぶのが殆ど。人間と変わらない外見の為、時折人間社会に紛れ込むこともある。痛覚などを持たないため脳のリミッターを解除した状態で活動することが可能。不老不死の力を持つが魂の浄化には弱い。


神霊族

その存在は殆どの者が知らない。特定の条件下で全ての種族が成れる特殊な種族であり、神の次に上位の存在でもある。実例は長い歴史の中でも一握りしか存在しない、謎多き種族。世界の理に干渉できる能力を持つと言われている。


「とまあ、以上がこの世界にすむ種族の説明ね。神霊族については例があまりにも少なすぎるから説明は難しいわね」

「なんというか、思った以上に色んな種族がいるんだな」

「そうね、今回は基礎としてこれくらいにしておくわ。交配とか種族同士の結婚とかについては今度説明するわね」

「本当学校の授業見たいだな」


エイミィの種族についての授業はこれで終わったが、ますます興味が湧いたため次の授業が楽しみに感じていた俺であった。

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