第11話

メリアスによって食料問題が解決した今、ダンジョンで飢える心配は無くなった。食材の魔物化という新たな問題が出てきたがそこはメリアスに丸投げすることにする。少なくとも魔物化してもメリアスなら対処できるし、魔核を抜き取ればそのまま食材になるわけだから大丈夫だろう。


「食料の確保はうまくいっているみたいだがこっちの問題も解決しないとな」


俺はいつものようにダンジョンで戦う挑戦者たちの監視をしていたのだがここ最近になってある問題が起きていることに気付いた。いや、分かっていたはずなのだが目を逸らしていたのかもしれない。


「トイレ作らないとな・・・」


冒険者および、ダンジョンモンスターたちの排泄についてだ。


ゲームと違って現実でダンジョンに籠るという事は何日も籠ることになる。なら当然食事をしたり、排泄物を出したりと生き物として当たり前の行為が出るわけだ。


ぶっちゃけ監視をしているとたまにダンジョン内で隠れて出している人はちょくちょく見かけていた。危険と隣り合わせのダンジョン内でそんなことをするのはかなり命がけでたまに排泄中にモンスターと出くわす展開とかあったりする。


まあ臭いでモンスターの方が逃げていく事もあったが。


挑戦者の中には当然女性とかもいるわけだしそういうのは特に気にするはず。一応、清浄魔法があって排泄とか3,4日くらいは大丈夫なのだが全員が使えるわけではない。


一応安全エリアにはダンジョン脱出装置が設置してあるため、いつでもダンジョンから出られるようにしてある。そして再び入る時は1階層目か、前回脱出した安全エリアからスタートできるようにしてある。


とにかく俺がダンジョンを運営するからにはなるべく清潔なダンジョンにしたい!というか汚物があふれるダンジョンとか誰が行きたがる!?


ちなみに俺やフロアボスたちの部屋にはしっかりと洋式のトイレ(ウォシュレット付き)が完備されている、流した先はダンジョンによって分解、消滅する仕組みになっているらしいが詳しい事はよくわかっていない。


「やっぱり安全エリアに公衆トイレとかつけるか。だが掃除するにしても定期的に一新すると魔力の消費もバカにできないし」


こういう場合漫画とかだと排泄物とかはスライムが処理するんだが、残念なことに生み出したスライムたちは知能がそこまで高くなく勝手にどこかへ行ってしまう。


エイミィ曰く、【テイム】というスキルがあれば魔物を使役したり統率できるらしい。


習得条件は色々とあるらしいが魔物に餌を与えて心を少しでも許せば習得できるらしい。スライムみたいに知能が低い魔物が相手なら簡単にテイム出来るそうだ。逆に強力なモンスターをテイムするには【テイム】のスキルランクを上げる必要がある。


ちなみにダンジョンモンスターはテイム不可になっている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


という訳で俺は早速一匹のスライムを部屋に呼び出して餌を与え始める。ステータスは初心者用にかなり低めのステータスにしておいた。


「スライムって雑食だよなエサは何でもいいのかな」


早速俺はメリアスの畑で作られた野菜の一部をスライムに与えてみた。


シュワ


キャベツの切れ端はまるで溶かされるようにスライムに吸収された。


「へぇ、面白いな。じゃあこれとかも食べられるのかな?」


次はただの石を出してみたがこれには無反応だった。


「まあ流石に石とか食べたりしたらダンジョン内部が大変なことになるな」


そう思ってみたが、某ゲームで有名なメタルスライムの存在を思い出した。


「これはどうなんだ?」


試しに鉄鉱石を出してみるとスライムは反応を見せて鉄鉱石を吸収した。


「もしかしてこのまま鉄を与え続けたらメタルスライムになったりして・・・・」


正直実験したい気持ちはあるが今はテイムすることが先決だ。俺はスライムが満足するまで野菜を与えるとモニターが出現した。


【テイム】を習得しました。スライムをテイムしますか?


「お、これでいいのかな」


俺は【はい】を選択するとモニターの項目に【テイムモンスター】の文字が浮かび上がった。確認してみるとしっかりと【スライム】の文字が載っておりテイムに成功したみたいだ。ステータスも確認できるようで俺が設定した通りのステータスが表示された。


「さてこれでテイムに成功したわけだし次々とやるか」


そしてしばらく俺はスライムを出現させてはエサを与えてテイムを繰り返した。とりあえず5匹ほどテイムを成功させて区切りをつけた。いきなり大量にテイムしても仕方ないからな。これからしばらくはダンジョン管理とスライムの育成が中心になりそうだ。


「よしスライムのテイムはこれでいいとして次はトイレの設計か・・・」


一から作るのは面倒なため、元々あった洋式トイレのデータを元に公衆トイレ風にデザインすることにした。ついでにウォシュレット機能はおまけとしてつけておいた。


「こんなもんかな、あとはこの公衆トイレを安全エリアの各地に配置すればOKかな。改善点とかは今後データを取ってと・・・」


清潔なダンジョンを目指すために俺は徹夜でダンジョン中にトイレを配置したのだった。

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