第4話

「さて、どうしたらいいものやら」


俺の目の前にはダンジョンフロアボスとして生みだした8名が片膝をついた状態でいた。


「なあエイミィ、このダンジョンの構造をいじれるってさっき言ったよな?それってどうやるんだ?」

「モニターをイメージしながら念じれば出てくるはずです。それで、光輝さんが最初にプログラミングしたように、このダンジョンの内部を変更できます」


あ、フロアボスがいるから大人口調になっている・・・そこまで威厳を持ちたいのかい、この女神は。俺は言われたとおりに念じると、目の前にスクリーンが映し出された。


「そこの『ダンジョン』の覧にある『編集』を押せば編集画面に移れます」


編集画面に入ると、俺がいつもプログラミングしているコードがズラーっと並んでいた。どの場所がどの編集場所かしっかり整頓されていたから、かなり見やすかった。先輩達もこれくらい整理した状態でデータを渡してほしいと思った。


「それじゃあ早速、部屋を作るか」


このダンジョンは、基本的に1階層とフロアボスのいる階層以外は迷宮のように複雑な構造に設定してある。元々がゲーム目的のダンジョンだから、それ以外の部屋など用意していなかった。


俺が次々とコードを打ち込み、『完了』を押すと、さっきまで何もなかったただの石壁に扉が出現した。それを見たフロアボス達は目を丸くして、感心したように俺を見つめていた。


「それじゃあ、会議室を作ったからそこで話し合おう」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺の作った会議室は、元いた世界の会社で利用していた会議室をイメージしたものだ。ファンタジーだったら大理石の円卓だろうが、そんなの気にしない。座り心地のいいキャスター付きの椅子に、真っ白い四角テーブルをいくつもくっつけた状態で、天井にはLEDライトのように優しい光の照明が部屋を照らしている。


「素晴らしい!さすが主様!これが主様の力ですか」


関心した声で言ったのは33階層のフロアボス、元素の神獣カルラだった。白銀の髪に頭の上には可愛らしい耳が付いている。簡単に表現するなら獣人だ。


「カルラ、あまりはしゃぐな。コウキ様の前だぞ」


そして、彼女の隣にいた男性用のチャイナ服を着た長身の男性、44階層のフロアボス、天空の支配龍のリンドだった。外見は長い青髪に三つ編みをして、頭には二本の角が生えている。まるでカンフー映画の主人公みたいな外見だ。語尾に「アル」はついていないようだ。


「何リンド?あんただって内心驚いているんでしょ?クールぶっているんだから。コウキ様の前でかっこつけているのバレバレなんだから」

「ああぁ?んだと?猫が!」

「やるんか!トカゲが!」


おいおい、喧嘩はよせって。ってか、こいつらそんなに仲悪かったのか?龍虎とはよく言うが、俺はこんな設定俺はつけた覚えは無いぞ。


「おい!お前らいい加減にしろ!コウキ様の前でみっともない」


俺があきれていると、二人の喧嘩を止めたのは11階層フロアボス、大地の巨人グラムだった。2メートルは余裕で超える巨漢で、褐色肌に厳つい顔をしていてそこに更にグラサンをかけているため、どこぞのヤーさんかと思うくらい怖い。まあ外見とか装備品とかは俺が設定したんだけどね。


「「す、すみませんでした」」


フロアボスのレベルは階層ごとに違うが、立場はそこまで関係ないみたいだ。グラムの発言で33階層、44階層のフロアボスが静かになったんだから。


「申し訳ございません、コウキ様。どうぞ続けてください」


グラムが一礼して、俺が座るのを待っていた。


「それじゃ、皆も座って。場所とかは関係ないから、適当に座ってくれ。これより第一回、ダンジョン運営の会議を始める」

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