第16話名前
ひとつ、思いついたことがある。
今更だけど、私達は自己紹介がまだだった。
「……私も"雷の竜の君"と
呼べばいいですか?」
せっかく自由に話せるようになったのだから、ベッドの上の竜に話しかけてみる。
丸まった竜は、顔を上げた。
「君、ではおかしい。
私は君子でも君主でもない。
竜は竜でしかないのだから。
魔女には友人として呼んでほしい。」
イキナリどうした。普通に話せるんじゃん。
……というより、合わせて来たのか。
私が本来どんな話し方をするのか、
解らなかったもんな。
「……だったら……。」
詰まってしまった。まさか任されるとは思わなかったのだ。
え〜と、雷、だと芸人みたいだし。
雷光、だと私もセットだから紛らわしい。
ビリビリくん、とか、竜さん、とか……。
商品名だったり、男らしすぎるイメージが……。う〜〜〜ん。
「……ライトニングさん、でも、いいですか?」
安直だが、英語から。偉い竜だからさん付け。
あまり意味はない。
「了解しました。
魔女は名前を持つのですか?」
「……有りますけど、いりません。
ライトニングさんが付けて下さい。」
可哀想な娘みたいな台詞だが、本当の事だ。
「我々には、魔女は魔女です。」
そっか。
……あんまり人間に区別付いてないっぽいな。
そういえば、自分で付けた呼び名が何処かで見た某大作ゲームキャラと同じだったわ、というのは後になって気付いた。
まあ、いいか。本人が知るわけないし。
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