第6話

「そっか」


 彼女が、どうやら、対象だったらしい。


「じゃあ、任務失敗でいいか」


「ちょっと」


「夢のなかに閉じ込めておくのもわるいし」


「わたしはそれでもいい。元々感情とか無かったし。あなたの感情だし。あなたの夢のなかに一緒に閉じ込められても」


「でも、今は感情があるんだろ。現実があって、日常生活があるんだろ」


「それは」


 あるらしい。現実も、日常生活も。

 なら、決まりだった。自分の感情が、彼女の心になったという感じなのか。ちょうどいいかもしれない。


「ねえ。なんでそんなに」


「それ以上は訊くな」


 自分の中の殺しに関する感情まで、話したくなかった。疲労感と、綺麗に死ねることへの憧憬。それしかない。生きていく人間には、べつに必要のないことだった。

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