第16話.霊媒師③
ガタガタと揺れる救急車の中で、羽宮はストレッチャーの上に腰かける。
壁にかかった時計に目をやれば、時刻は日付が変わるかどうかという時間帯だ。
病沢と約束していた二日以内に助けに行くという期限。金満の脅しによって一日オーバーすることになってしまった。
今、羽宮が搭乗しているのは救急車に扮した特別車両の中だ。
実際の救急車を改造し、霊能者が使いやすいように設備を増設した車両である。一般の救急車にある設備はそのままに、霊を感知するための機材や瘴気除け、呪い避けの結界が施されている。
狭い車内を有効活用するため、内部は一般的な救急車よりもゴチャゴチャとしていた。
全国に数台しか存在しない車両を使用するためには上層部の許可が必須。今回は金満が上層部にかけあい、隣接県から急遽この車両の派遣を打診したのだ。
「目的地まで5分」
救急車の運転手は無愛想に言う。
隣の助手席にいる隊員は、無線機で本部と連絡をとっている。万が一、除霊に失敗した時に備えて、定期的に連絡を行っているのだろう。強い怨霊を相手とするのなら、除霊をする前に妨害を行ってくる可能性がある。車で移動中なら、走行中に何か仕掛けてくるかもしれない――その意味ではすでに除霊は始まっていると言えるだろう。
羽宮は返事もせず、ただ天井を見つめた。
どこか古い病院を思わせるような薄気味悪い光。
本来なら急患の処置を行いながら搬送するためなのか、照明の明かりは刺激がそこまで強くならないよう制限されたものが使われている。かえってそれが白いライトの光から本来感じるであろう清潔感が薄まってしまっていた。
舗装の状態もあまりよくない。
道路の補修工事が行き届いていないせいか、乗っているとガタガタと大きく揺れる。道路の凹凸にタイヤが乗り上げ、壁にかかった聴診器や心電図、各種医療機器が繋がるコードが大きく揺れた。
「随分と余裕そうだな? 今からでもしっかり確認しておけ。お前が死んでも俺は困らないが、お前のヘマが原因で俺まで死ぬのは御免だ。経文はしっかりと入っているんだろうな?」
羽宮が横たわっているストレッチャーの反対側の座席に金満が座っている
どこからか取り出したのかペンのようなものを羽宮に放り投げた。
それは横たわっていた羽宮の体に衝突し、ストレッチャーの上に墜落。羽宮が何かと思って右手で掴めば、ペン型のライトであることが分かる。
ボールペンでいえばノックする部分に押し込み型のスイッチがあり、スイッチを押し込めば青い光が先端から照射された。
羽宮は上体を起こすと上着の袖をまくる。
腕にブラックライトを当てると、肌一面に筆を入れてもらった無数の漢字が浮かび上がった。腕だけでなく、つま先から頭まで隙間なく。全身に無色の蛍光インクで経文が筆記されている。もちろん耳にもだ。
「問題ありません」
羽宮は短く返す。
今から全身を確認するような時間もないし、それを行うのは無礼というものだ。
というのも、これを入れてくれたのは現在救急車のハンドルを握っている隊員である。ヘルメットと水色のユニフォームに身を包む隊員は、出発前にペンを握って羽宮の全身に般若心経を入れてくれたのだ。
当然、彼らは医療のみならず霊感を持ったプロである。
全国でも数台しかない特別車両。運用を任せられるのはベテラン中のベテランである。間違っても耳に経文を入れ忘れた、なんてことはない。それに、ここで服を脱いで確認してしまえば、自分たちが彼らのを仕事を疑っていると思われてしまう。それが原因となって不信感を抱かれるのは好ましくない。
命がけの仕事だ。
信頼を失ってしまえば、どこかで命取りになるかもしれない。今から、突入するのは悪霊が巣食う異界。霊媒師にとっての戦場——
直接、異界に行くのは自分と金満の二人だが、留守中、自分たちの体を守ってくれるのは隊員たちである。無防備な己の体を任せる相手の機嫌を損ねるのは憚られる。
「向こうについたら手筈通りにやれ。まずは俺が正面からいく。お前は隙を見て裏から俺のサポートをしろ。分かっていると思うが、途中で現実に撤退することはできない。怨霊を退治するまでは家に帰れると思うなよ」
分かっています、とだけ羽宮は返事をした。
金満はスーツの内側に手を突っ込んだ。
スーツの下には革製のショルダーホルスターを着用しており、そこから回転式拳銃を引き抜いた。
ニューナンブM60。
警察に支給された回転式拳銃である。それはまさしく本物の拳銃で、適切な火薬入りの弾薬を装填し、引き金を引けば本当に弾丸が飛ぶ。撃たれ所が悪ければ、数グラムの金属によって人を殺すことも可能な武器である。
取り出した拳銃を見ている羽宮の気づいたのか、頼んでもいないのに金満が説明を始める。
「こいつは特別製でな。零課に支給されるニューナンブはグリップが木製であること以外は普通のニューナンブと変わらない。でもな、装填される弾薬が違う。通常の38口径弾ではない特別仕様だ」
金満はラッチにかけた指に力を入れて、手慣れた動作でシリンダーを銃の本体から左に振り出した。
恐らくはシリンダーに弾薬がしっかりと装填されているのか確認しているのだろう。そしてシリンダーから弾を一発引き抜くと、指つまみながら手で回転させる。
「こいつは弾が重要だ。撃鉄起こすための火薬はチベット僧院から取り寄せてある。弾頭は純銀製、薬莢と弾頭には
再び、弾を元あったシリンダーの中に戻し、ナンブを構えた。
銃口が向かった先には小さな鏡がある。
曲がりなりにも刑事。
腐っていてもナンブの使い方は理解しているようだ。
現代の日本で実際に拳銃が使用されることは滅多にない。訓練を除けば、実際に人に向かって引き金を引くことなど人生で一回あるかないかだと聞いたことがある。
引き金を引くだけで人の命を簡単に奪える道具。
それを握る者の責任は当然重い。
使用が許されるのは自分や市民の守るため。そして公務執行に対する抵抗を抑止するため――。
(……重いに決まっている)
羽宮は警察官ではないので、その金属製の武器はいかほどに重いかは分からない。単なる重量という意味ではない。責任という意味で、それを握る人間の心にどれほどの重圧が圧し掛かるか羽宮には想像もできないことだ。
しかし、責任という意味では霊媒師も同じ。市民を守る義務が自分にもある。例え、多少ルールを破ったとしても結果として、それで誰かが救われるのであれば、それは是とされるべきだ。
羽宮はストレッチャーに座りながら、両手を握りしめた。
「………ばーん」
羽宮が責任という言葉の重さを嚙みしめる一方、金満は拳銃を撃つ予行演習をしている。
「…………」
鏡に向かってポーズをとる金満に冷たい視線を向けた。
そこには、およそ警察官としても霊媒師としても責任を持つ人間の態度が見受けられなかったからだ。
体の大きな子供が、買ってもらったばかりの拳銃の玩具ではしゃいでいるようにしか見えない。
羽宮は相手に聞こえないよう静かに溜息をつく。
「安全第一で事に当たる」、「ルールは順守すべき」といった理由で除霊の決行を遅らせたのであれば、羽宮は怒ることはあっても理解を示しただろう。
しかし、鏡に向かって銃を撃つふりをしてばかりの上司の姿からは、仕事に対する責任や熱意は微塵も感じられなかった。これから敵地に赴くというときに、本当にこれで大丈夫なのだろうかと心配に思ってしまう。
ブレーキを踏む音が聞こえた。
ブレーキパッドがディスクローターと接触し、甲高い悲鳴をあげる。
目的地であるコンビニ——そこに到着した。
より正確にはコンビニ跡地。
救急車が停車し、窓から外をみれば例のコンビニが見える。
エンジンはアイドリング状態のままキープ。
運転手と助手席に座っていた隊員が車を降りて、早速準備を始めた。
用途が分からない機材の電源スイッチが入り、車載モニターにはいくつもの数値が表示される。
羽宮は隊員に指示されるままストレッチャー仰向けになった。隣では金満が自分と同様に仰向けになっているのが見えた。
ペタペタと自分の体に吸盤がついたコードのようなものが貼り付けられていく。
「異界に行くのは初めてですよね?」
さきほどまでハンドルを握っていた隊員が機材を準備しながら言う。
自分に話しかけられたことに気づいた羽宮は、隊員の胸元にある名札を見ながら言葉を返す。
「始めてです。……胡桃沢さんは経験がありますか?」
「経験はありませんが、異界に行く手伝いをしたことが一度あります……。頭を少し上げて。酸素マスクを装着します。呼吸をしてみた感じは?」
胡桃沢は羽宮の口元に酸素マスクを装着する。
透明なマスクだ。
羽宮が息をするたび、マスクの内側が白く曇った。
「本当か? その一度っていうのは犬鳴村? それとも――」
胡桃沢隊員の年齢から考えるに、その異界は犬鳴村ときさらぎ駅のどちらかが当てはまりそうな気がした。
「わたしが担当したのはきさらぎ駅の方です。犬鳴村は私の上の先輩方が担当されてましたね。意外と多いんですよ。当時、霊媒師を異界に送った人。きさらぎ駅は過去一番、霊媒師が送り込まれましたからね……」
「そして最も犠牲を出した」
「ええ」
異界への対処法は大きく分けて二つ。
一つは封印。犬鳴村のように人里離れた場所にあるならば、存在そのものを隠蔽し、誰も近寄ることができないようにすることで、それ以上犠牲者を出さないようにする。
二つ目は、異界そのものを祓うこと。異界を生み出した元凶を取り除くことで異界そのものを消滅させる。当然、こちらの対処法が好ましい。だが、リスクが伴う。
きさらぎ駅は立地上、多大なる経済的損失と隠蔽工作の困難さがネックとなってしまった。
異界が発生したのは交通の要である駅。犬鳴村のように人を遠ざけることもできない。まして線路を新たに引き直し、駅そのものを建てるのは世間から疑問の目を向けられることになるのは分かり切っていた。よしんば、新たに駅を作っても通学や通勤で人は集まってくる。人が集まってくれば、少なからず異界に連れいかれる。
ゆえに多大な霊媒師の犠牲を出してでも、きさらぎ駅を消滅させる必要があった。全国から集めた精鋭の霊媒師をきさらぎ駅に送り、帰ってきたのは、ほんの数人——。
「あの一件がなければ、多少は人員不足はマシだったでしょうが……タラレバの話をしても仕方がないですね……はい、深呼吸をしてみて」
彼が機材を操作するのを目で追いながら、言われた通り深く深呼吸をした。
「……変な臭いがする。これは何の臭いだ?」
マスクをつけたまま喋るのは変な感覚だ。
声がこもっており、自分が呼吸するごとに空気がシューシューと半透明な管を通る音が聞こえた。さらにピッピという電子音が絶えず車内で鳴っているため、気分はまさに手術を受ける直前の患者のような気分だった。
「それはマスクから空気が漏れていないか確認するために使用する薬剤です。私には何の臭い漂ってこないので、隙間なくマスクが装着できているようですね。準備が出来たら麻酔と一緒にテトラヒドロカンナビノールを投与します」
「テトラヒドロ……何だって?」
「テトラヒドロカンナビノール。簡単に言ってしまえば大麻に含まれる成分のことですよ」
平然と言ってのける胡桃沢。
「それって大丈夫なのか? その……法的に」
「法的に? 大問題です。日本では医療用であっても大麻の使用は違法です。大麻の薬効は鎮痛作用や鎮静作用、さらには抗がん作用や吐き気を抑える効果がありますが、現行法では医療用であっても使用は違法。昔は医療用大麻の解禁が真剣に議論されていたんですが……結局、解禁はされませんでした」
「なぜ解禁にならなかったんだ?」
羽宮が問いかけると胡桃沢はにこやかに答える。
「副作用に問題があったんです。どんな薬にも副作用がありますが……。大麻の場合は脳の海馬機能の低下です。それから依存性もある。何よりも問題なのは——見えてはいけないものが見えてしまう」
「なるほど」
羽宮もつられて笑った。
説明から察するに大麻には霊感を高める作用があるようだ。つまりはドーピング効果。御神酒や塩に清めの効果があるように、大麻の成分は霊的に作用するということらしい。
「薬は乱用されれば麻薬と呼ばれます。逆に麻薬も上手く使えば薬です……。こちらの準備はおおむね終わりました。あとはヘッドフォンを耳につけて、ヘミシンクを流すだけです」
ヘミシンクという聞きなれない単語に、羽宮が尋ねるよりも早く、胡桃沢が説明をしてくれた。
「ヘミシンクを聞くと脳波が変化します。まあ、簡単にいってしまえば異界に行きやすくするための補助です。それより異界に行くための縁を持ったのは羽宮さんですか?」
金満より早く答える。
「私です」
「では、先に羽宮さんから異界に行ってもらいます」
今回、異界に入るためには病沢さんと自分との間に発生した縁を使う。
いわば異界に入るための鍵のようなものとして使う。
通常、霊媒師は怨霊が形成した異界に立ち入ることはできない。怨霊は異界に引きこもっており外部から敵が侵入することを拒んでいるためだ。自分に仇なす霊媒師をわざわざ呼び込むような真似はしない。
誰を引き込み拒むかは怨霊の裁量次第。
自分の餌となる人間を現実から異界に引き込もうとするのもお手の物だ。従って、異界に立ち入るためには自力で異界の位置を見つける必要がある。その鍵となるのが縁が必要なのだ。ただし、これは物に限定されない。
例えば、犬鳴村に立ち入るためには、その村の出身者である人間がいないと異界に入ることができなかった。村の出身者に付き添い、霊媒師が廃村同然となった犬鳴村から異界の犬鳴村に侵入するという方法がとられた。
きさらぎ駅の場合であれば、一度目はそこで働く職員が縁となった。二度目は脱線した列車に乗っていた生存者。縁を持った人間がいたからこそ異界に行くことができたのだ。
今回の場合は——羽宮はスマートフォンをポケットから取り出した。
(病沢さんとの縁がある。彼と約束をした。異界の位置を見つけるには十分——)
羽宮が交信をした時、病沢とは「必ず助ける」という約束をした。
言葉を交わして約束をした以上、彼とは少なからず縁を持ったことになる。すでに自分たちを導いてくれる存在が先に異界にいるのだから道標としては十分だ。場所に関しても申し分ない。あとは病沢さんが怨霊の餌食になっていなければ、彼との縁が異界のコンビニへと自分を導いてくれるだろう。
羽宮はスマートフォンを自分の胸の前で抱きしめる。
「準備はいいですか? 何か言っておきたいことがあれば聞いておきますが——」
「大丈夫、帰ってくるさ。麻酔を頼む」
胡桃沢が麻酔の操作を始めると、横から耳障りな声が聞こえてみた。
「羽宮っ!! くれぐれも言っておくが、俺が後から到着するのを待てよ。絶対に先走って、俺より先に除霊しようなんて思うな。あくまで作戦通りにやれ!!」
釘を刺された。
あわよくば先に異界に行き、怨霊の退治をしようと考えていたが——無理そうだ。
金満の言葉を無視して羽宮は小声で祝詞を唱える。
あまりに小さな声なので周囲にいる胡桃沢や金満には聞こえていないだろう。
「……投薬を開始しました。ご武運を」
胡桃沢が自分の両耳を覆うヘッドフォンを装着してくれた。
聞こえるヘミシンクは思ったよりも五月蝿くない。ヘッドフォンを着けてもなお、周囲の環境音が聞こえた。
エンジンの振動音や胡桃沢と隊員がやり取りする声、医療機器から発せられる電子音、自分の息遣いと心臓の鼓動——。
祝詞を唱えることに集中していく。
写真で見た病沢光博の姿を思い浮かべる。霊感を働かせることだけに集中し、彼を探す。
次第に周囲の喧騒が遠ざかっていき静かになっていくのが分かった。
体から力が抜けていき、段々と体の外側と内側の境界が曖昧になっていく。肉体の感覚が抜けていき、自分が祝詞を唱えているという実感そのものが薄れる。
気づいた時には、羽宮は自分の肉体を知覚することができなくなっていた。
唯一感じるのは浮遊感のみ。
霊感だけを頼りに真っ暗な暗闇の中を漂っていく。
そしてある時、急速にどこかに落ちていくような、強く引っ張られるような感覚に襲われた。落ちていくのと同時に、急浮上するような矛盾した感覚。
やがて肉体に感覚が戻っていく。
——寒い。
始めに感じたのは寒気だった。
次に感じたのは臭い。鼻が曲がりそうなほどの焦げ臭さが脳に充満する。
羽宮は目を開けた。
そこに存在していたのは、真っ暗な暗闇の中でただ一つ存在する建物だった。
電飾看板は頭上で光を放つ。
礫だらけのアスファルトの大地には、亀裂の間から枯草が顔を覗かせている。地面に引かれた白線は消えかけで、車を何台も停めておけるだけのスペースがあった。駐車場の白線を追うように奥に目をやれば、遠くで薄気味の悪い光を放つ箱型の建物があった。
異界のコンビニ。
周囲を覆いつくす完全な暗闇に飲み込まれず、確かに存在していた。
息を吸い込む。
肺が凍りつきそうなほど冷たい空気に、喉の奥がキュッと細くなった。
思わず咳き込みそうになるほどヒヤっとした空気だ。
ここから見えるコンビニの中はいかにも暖かそうで、思わず足がそちら吸い寄せられそうになる。自動ドアを見た瞬間、入口に立った時、店の中から暖かい空気が自分を包みこむイメージがふっと沸いた。まるで羽宮が来るのを歓迎しているかのような暖かいイメージが勝手に沸いたのだ。
恐ろしい、と羽宮は意識的に一歩後ろに下がった。
羽宮が異界に来たのは、これが初めてである。今まで抱いていた異界のイメージとは、ただそこにいるだけで魂が危ない危険な場所というものだ。悪霊が徘徊し、常に自分を殺そうと付け狙ってくる戦場。だが、目の前に広がる光景はあまりに普通だった。もし自分に救急車に乗っているという記憶がなければ、羽宮は何の気もなしに自動ドアへ向かっていたはずだ。迂闊に中に入ってしまえば——
羽宮は後続が来るのを待つ間、暖かさを求めるように頭上で光り輝く電飾看板を見た。
異界のコンビニは現実のコンビニの名前とは異なっている。
デイリーエイト。
大手コンビニチェーンの名称を雑にくっつけたかのような出鱈目な名前だ。数字の8のロゴがデカデカと描かれ、パチパチと中の電球が点滅を繰り返している。
羽宮はコンビニを睨みつけた。
ここからでは中を窺い知ることはできない。雑誌コーナーの裏側が見える窓ガラスも自動ドアのガラスも薄っすらとした靄がかかっているためだ。
(病沢さん……)
羽宮は自分の唇を噛んだ。
中に動きはない。彼の身を案じつつも、すぐにでも助けにいけない自分が何とも情けなかった。
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