キック

うちのオカメさん、放鳥中に私が一人で二階へ行こうとすると、ピョッ!と鳴いて、慌ててついて来ます。


『待って!』


と言っている感じです。


急いで追いかけてくれるのが可愛くて、わざと階段の一段目に足をかけて止まり、チラッとオカメさんの様子をうかがってみたりするおバカ飼い主です。


しかし、たまに追いかけるつもりにならないこともあるようで、いくら待っても、冷蔵庫の上でポワーンとしていることも。

まあ、誰だってその時の気分というものがありますものね。




そんなオカメさんですが、いつでも二階へ連れていける訳ではありません。

洗濯物を干したりでベランダに出る用がある時は、オカメさんは一階でお留守番になります。

外に飛び出しては大変ですからね。


ベランダへ出る掃き出し窓を開ける音がすると、置いて行かれたことに気付き、一階でオカメさんが鳴き始めます。


ビョーッ! ビョーッ!


一階の窓が開いていると、ベランダにも良く聞こえる程の絶叫です。


『おかあしゃーんっ! どこーっ!?』


洗濯物を干し終わって、私が階下に降りるまで、その絶叫は続くのです。

後追いする赤ちゃんみたいです。




さて、今日も洗濯物を干していると、オカメさんの絶叫が聞こえ始めました。

たまたま今日お休みだった家族が、ずっと私を呼んでいるオカメさんがかわいそうだと思ったらしく、代わりに一階に降りました。


ビョビョーッ!!

「うわーっ!!」


ん?

なんか今、オカメさんじゃない悲鳴が聞こえたような…。


降りてみれば、額に引っ掻き傷を作って悶える家族と、冷蔵庫の上で興奮して、フッ!フッ!と威嚇しまくっているオカメさんがいました。



どうもオカメさん、階段を降りる足音を聞いて、私だと勘違いして廊下に飛び出したようです。

喜んで飛び出したはいいものの、階段を降りてきたのは別の人。

顔の前で急停止したけれど間に合わず、一声鳴いて、家族の顔面にキーック!!

……したとのこと。



「もう何かあっても助けてやらん!」

プリプリする家族。


え〜?

オカメさんキックなんて、レアでいいじゃないの!



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