お返し

うちのオカメさんは一羽飼い。

なので、仲間やつがいと羽繕いをし合うことは出来ません。


『羽繕い』の回に書きましたが、オカメさんが自分でやり難い顔周りや首の後ろ辺りの羽繕いは、私がお手伝いします。

そうするとオカメさんも、お返しに私の羽繕いを手伝ってやろうと思うようです。


……まあ、私はオカメさんの彼氏(疑似)でもありますから(トホホ…)、羽繕いをし合うのは当然なのかもしれません。



私は普段髪を上にまとめているので、オカメさんは肩に乗って、襟足のチロッと垂れている私の毛髪を嘴で咥え、羽繕い(の代わり)をしてくれます。


毛を軽く引かれてちょっぴり痒いのですが、せっかくやってくれているので我慢です。


オカメさんの嘴周りの羽根が首に触れて、もの凄くくすぐったいけれど、それも我慢……。


……がまん。


…………。


あーっ!

もう無理っ!


とうとう我慢できなくて首をすくめると、怒って耳たぶを噛じるオカメさん。

だって、めちゃくちゃくすぐったいのだもの……。




さて、そんなオカメさんがしてくれる私の羽繕いは、決して髪の毛だけではありません。

鳥は全身の羽根を羽繕いしますから、当然私の毛も、服から出ている部分を全部やってくれようとするわけで…。



私がソファーでウトウトする時、オカメさんはそろりと顔の側にやってきます。

そして、前髪をゴジゴジ。

眉毛をゴジゴジ。

さらに、まつ毛をゴジ…。


いっったーいっ!!


思わず飛び起きる痛さ!

オカメさんはびっくりして部屋を飛び回ります。


まつ毛、嘴で摘まれると非常に痛いのです。



その他にも、近くに寄ると毛の存在にふと気付くものなのか、突然鼻の穴に嘴を突っ込んで鼻毛を抜かれたり、手の指に生えたうぶ毛を引っ張られたりして驚くことも。


全身のお世話してくれようとする気持ちはありがたいのですが、人間は毛を引っ張られると弱い部分もあるのですよ、オカメさん。


ああ、スネ毛の濃い男の人とかじゃなくて良かったわぁ。




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