盗み食い

「ペットに人間のご飯を食べさせてはいけない」

よく聞く内容ですよね。

人間の食事は、彼等にとっては塩分や脂肪分の多い、大変身体に良くないもののようです。


鳥も、もちろんそうです。

鳥は鳥類。

哺乳類の人間とは、内臓器官も全く違いますから、味付けなしなら食べさせても良い、というものでもありません。

野菜や果物のような、素材そのものなら一緒に食べられるものは多いのですが、調理されているものは基本的に与えません。


しかし、やはり生き物。

目につく所に食べ物があると、気になるものなのですよね……。




オカメさんは普段、人間の食事時間はケージの中です。

でも、休日って生活リズムが変わったりしますよね。


オカメさんの朝の放鳥中、私がちょっと洗面所に行って帰ってくると、定位置の冷蔵庫上にオカメさんがいません。

おや? と思ったら、テーブルの上に。

遅起きで、まだ食べられていない家族の朝食がテーブルの上に置かれてあるのに気付いたオカメさん。

ロールパンをがっついているではありませんか!


こらこらこら!

急いで取り上げると、パンくずを下にたくさん落としたオカメさんは、目をキラキラ。


『おかあしゃん これおいしいです♡』


うっ……。

そ、そんなかわいい顔してもダメですっ!

急いでパンくずも片付けました。



そしてまたある日。


残りご飯をおにぎりにしてラップにつつみ、置いたまま洗濯物を取り込みに行った私。

戻って来てみると、オカメさんが冷蔵庫の上で、何やら必死に嘴を擦り付けています。

よく見れば、嘴にカピカピしたものがたくさん付いていて……。


ああっ! 

それはご飯粒の跡ではありませんか!


オカメさん、ラップに穴を開けておにぎりを食べておりました。


ところが、シードやパンと違って粘着質なご飯粒は、嘴にたくさんくっついてしまったようです。

嘴を磨く為に、オカメさんはあちこちに擦り付けて歩いたらしく、おにぎりの周りから、シンクの縁、冷蔵庫の上、あらゆる所にご飯のカピカピ跡が…。


『おかあしゃん、とれません…』


オカメさん、何とも情けないお顔です。



嫌がるオカメさんを捕まえて嘴を拭き、拭き掃除をしながら、放鳥中に食べ物を放置してはいけないと、反省しきりのおバカ飼い主なのでありました。

はい、気をつけます……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る