第13話

 スーパーに到着して、一旦別々に食材などを見て回った。

私は野菜コーナーで必要な野菜を籠に入れる。お肉コーナーも少し見るが家の冷蔵庫に保存してるのがあるので今回は買うのを見送ることにする。

 卵を1パック籠に入れて、私はひと通り買いたいものを揃えることができた。


 会計を済ませようと思い、レジに向かおうとすると籠に商品を満帆に入れている美波さんを目にした。

私は自然と美波さんの持っている籠の方に視線を向ける。

私は我が目を疑ってしまう。


「え?何よこれ!?」


 籠の中には大量のインスタント麺類が入っていた。ラーメン、焼きそば、そば、うどんなどいろんな種類が大量にあった。


「橘さん?どうしたの?そんな驚いて」


 私の反応に美波さんは理解してない様子だった。


「どうしたのじゃないわよ!!

美波さん、いつもこんな物ばかり食べているの?」

「ええ。これならお湯を入れるだけですぐに食べれるでしょ」

「いや、そうだけど…インスタント麺類なんて体に悪いわよ」

「うーん、それを言われては何も言い返せれないわね」

「一人暮らししてるんだから自炊とかしっかりしないと食費もかかるし何より健康にも良くないわよ」


 私がそういうと美波さんの表情が曇る。


「…じ、自炊…」


 美波さんにしては珍しく決まりの悪い反応をする。


「何よ?その萎え切らない態度」

「…何回かは試してみたのよ。……けど上手く作れなくて…」


 え?うそ?

あの美波さんにも苦手がことがあるんだ…!?

まだ出会ってから長い時間は経ってなくお互いのことをそこまで理解してるとは言い難いけど私が学校でみる美波さんは控えめに言っても非の打ち所がないという評価に値する。

 私にやたら絡んでくるのは気に入らないけど。


「へぇー」


 自分でもわかるぐらい口元が緩んでしまう。

 私にとって料理をすることはさほど苦になることではない。むしろ得意分野と言っても差し支えない。

美波さんは苦手で私は大の得意ということにほんの少し優越感を覚えてしまう。


「べ、別にいいでしょ!誰にだって不得手なものはあるわよ」


 美波さんは気恥ずかしいそうな様子でそう言った。


「何なら一回ぐらいなら教えてあげてもいいわよ」


 普段の仕返しとしてマウントを取る。

  

「いい提案だけど遠慮しておくわ」

「ふーん。断るなら別にいいけど私けっこう料理の腕いいわよ」

「……自分でそれを言うのね」

「事実だからいいのよ」


 美波さんに超上から目線で料理を教えながら批判するのも悪くないけど…。

さすがにそこまでするのはめんどくさいわね。


 私は美波さんとの会話を一旦やめてレジに行こうとする。

するとそのタイミングで美波さんが予想外の言葉を口にする。


「そこまで言うなら橘さんの作った料理を食べたいわね」

「え?なんでそうなるのよ」

「そこまで自分の腕に絶対の自信があるなら人に振る舞っても問題ないわよね?」

「そうだけど…嫌よ!めんどくさい。それをして私に何のメリットがあるのよ」

「あら?さっきまであんなに威勢よく話していたけど結局はそこまで自信がなかったのかしら?」

「はぁ!?そんなことないわよ!!だったら今から私の家で料理を振る舞ってもいいわよ!」

「別に無理しなくていいのよ」


 美波さんのその言い草が癪に障る。


「無理なんてしてないわよ!いいわ!これから私の家に来て!あなたに目にもの見せてあげるわ!」

「それは楽しみね」

「どうせなら美波さんのリクエストの料理にしてあげるわ。何がいいか答えなさい!」


 私がそう言うと美波さんは少し間をおいて考える。


「そうね。オムライスが食べたいわね」

「意外に可愛いもの要求するわね。分かったわ。私が口だけじゃなかって言うのを分からせてあげるから」


 こうして売り言葉に買い言葉でまんまと美波さんの安い挑発に乗ってしまい私は美波さんを自宅に招いて料理を振る舞うことになってしまった。

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