第10話
カフェに到着し、双方メニュー表を確認する。このカフェはホットケーキが看板メニューだったので私はそれを注文することにした。
対する美波さんはあまり注目度の高くないミックスサンドセットを注文した。
店内は客が多く、賑わっている。
家族層や若いカップルもいて私たちと同じ年頃の女の子など今まさに人気のお店だ。
ネットで話題だったから気になっていたのよね。
休日に1人で来ようと思っていたけどまさか美波さんと来ることになるとは思わなかったけど…。
メニューがくるのを待っている間、私はスマホをいじり始める。
しかし、美波さんがすかさず話しかけてくる。
「橘さんは休みの日は何して過ごしているの?」
「別に…普通よ」
私はスマホを見ながらそう返す。
「私はあまりこういうお店に来ないから分からないけど橘さんはよく来たりするの?」
「まぁ、たまに来るわね」
「そうなのね!このお店の他にもどこか橘さんのおすすめのお店ないかしら?」
「あー、そうね。」
「………」
あれ?なんか急に会話が止まった。
私はスマホから目を離し、美波さんの方に目を向ける。
すると美波さんはジト目で私の方を見ていた。
「橘さん…私の話聞いてるの?」
少し不満げな様子でそう問いかけてくる。
「一応聞いてるわよ」
「はぁ、私悲しいわ…。せっかく橘さんにテストで圧勝して今日一緒に遊びに来てるというのに…」
「ちょっと待って!圧勝じゃないでしょ!
1点差でしょ!」
「あら、そうだったわね」
一瞬、美波さんを怒らせたかと思ったけど全くそんな事なかった。
やっぱりコイツいまいちつかめないわね。
「美波さんこそ休みの日は何してるの?」
仕方ないのでスマホをいじるのをやめて美波さんと話すことにした。
しかし美波さんの返答は私の予想外のものだった。
「別に…普通よ」
いつものお淑やかな口調ではなく、少し無愛想な口調でだった。
「アンタ、それ誰の真似よ!」
「フフ、さっきのお返しよ」
そう言いながら話す美波さんの表情は明るくそして同じ女性の私から見ても魅力的だった。
そうやって話していると頼んでいたメニューがきた。
「届いたわね」
私はナイフとフォークを手に取り、ホットケーキを一口サイズに切り口へ運ぶ。
口の中で広がるふんわりとした食感にシロップの甘さ加減がちょうど良かった。
「うん。美味しいわね。」
私がホットケーキを食べていると美波さんがこちらを見ていた。
「何よ」
「いえ…、橘さんって甘いモノ好きなのね」
「普通よ。特別好きじゃないわよ」
「あら、そんなにニコニコしながら美味しそうに食べてるのに?」
「別にニコニコしてないわよ!!」
確かに甘いモノは嫌いじゃないけど…
というか大好きだけどコイツに言われるのはなんだか癪なのよ。
「なんだか橘さんの新たな一面を見れて嬉しいわ」
「うるさいわね…」
こんな感じの会話をしながら私たちはカフェでの時間を過ごすのであった。
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