第3話 チュートリアルにて初デス

「とはいえ考えてる余裕は少ないな…"The Slash"


両手に剣を生成し、投げる用意を終わらす


そして今一度相手を見る


薄灰色の分厚く固い毛皮、盛り上がるほどの筋肉質な四肢、僅かに開く口の中にはげっ歯類の特徴である門歯が見える

しかし大きい耳は先まで側頭部にくっつき動かず、細い尻尾はとてもとても短い、なによりも鋭い爪が長く発達しているのが特徴と言えるだろうか


ネズミ…もといげっ歯類に当たるであろうことは確実だが種類としては有名なクマネズミやドブネズミとは大きく違うのだろうな…ん?


脚部の筋肉が…増えている…?

いや、違う、あれはだけだ

そう、言うなれば初めてそのゲームに触る友人との対戦において軽くやっていたらロマンコンボを決められてストックを落とした時のような、落とした箸を拾おうと座りながら手を伸ばしたら手に当たってより遠くに行ってしまった時のような

激昂ではないが苛立ちを抱え腰を上げる、手加減を止める、そういうやつだ


ネズミがそのまま体を大きくなったらの単純計算だけでも、一般的なネズミの中でも大きいとされるドブネズミで高さはおよそ15cm程度、2mといったら10倍以上だ


「ッ」


ネズミはもうすでに脚に力を入れ、今にも跳んでくる

跳びに合わせて投げようとしていた剣だがそんなこと考えてられないので早急に投げるだけして左に転がり跳ぶ


だがそんなこと関係が無かった、気づくのが遅かったわけでも、行動が遅かったわけでもない

ネズミが惰性を捨てた時点で今のパスパルトゥーには完全な回避の可能性などなかった


『ドボッ』という轟音

そしてやってくる、単純に抉られたという違和感と不快感、追って圧倒的なまでの激痛が


「オ"ッグ…ァ…げごばっ」


痛みに喉が鳴ったのは一瞬で、血の塊を吐き出す


そして今からが本番であり…しかし哀れパスパルトゥーはあまりの痛みに気絶してしまった


一方ネズミは、額に抉り刺さっや刃を乱暴に抜き、倒れたパスパルトゥーを向く

パスパルトゥーの物語は終わりを迎えかけた



「あららららら…憩いの場が…獣はいいとして迷い人なんてね、んーどうしようかな~。よし、助けちゃお♪」


人が、顔を出す


「『獣除け』ほらバイバイしようね~」


ネズミはそのを受けた途端にオヤツを蹴り飛ばし去ってゆく


「そしてこっちは~?」


人がパスパルトゥーに手を伸ばす


「こwれwはwひwどwいwねwあーーーwおもしろ~w」


ただでさえ致死であるはずのパスパルトゥーをおもしろそうに突っつき、俵のように担ぎ上げる、流血は気づけば止まっている


「僕的に好みかも、ってことでお持ち帰り~、あははっ♪ちょっと後で弄っちゃお~」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

何代目かの勇者活動 カノン @Kanon0920

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ