第11話 PLAYER_1&2_JOIN

 ホヨは背の高い女の子……明都院さんに連れられて、人気の少ない休憩スペースで向かい合うように座っています。明都院さんはポケットから小さな四角い道具を取り出し、ちょんと触って不思議なバリアを展開させました。盗聴防止の結界だそうです。これが噂に聞くマジックアイテムですね。すごいです~。


▽ワルミ

「………さて 改めて自己紹介を

 わたくしは明都院 割美………この世界に転生した元プレイヤーですわ」


 明都院さんが右手の甲をホヨに見せます。確か女神様がマークを付けると言っていましたね。なるほど。ホヨにもマークがありました。なるほど。


 そして明都院さんは今までにあった事やこの世界の事について色々と話し始めました。

あの時自分が救いたかった本人に転生してしまった事、

この人物はラブたんのラスボスで、どうにかしてその運命を避けたいという事、

ホヨがラブたんにおいてとにかく酷い目に遭う『不憫キャラ』という存在である事、

既にメインストーリーの道筋を大幅に捻じ曲げてしまった事、

ラブたんの主人公が編入しておらずキャラストーリーもどうなるか分からない事、

この世界は思った以上に殺伐としていて、ゲーム知識を有していたり転生者であることがバレると非常に危険であり絶対に他人に話してはいけないという事………



▽ワルミ

「………あの時私が言った事、覚えてますか?

 だって。

 …もちろん、それは自分だけじゃない…そこにはあなたも含まれているんです

 だから……一緒にハッピーな冒険者ライフを目指してみませんか?」



 ………彼女は優しいヒトです。他人の幸せの為に、手を差し伸べてくれている。



▽ホヨヨ

「………ホヨ!」



 ………そう、一緒に。 ボクは手を重ねました。



▽ワルミ

「…あなただけじゃありませんわ

 ラブたんの『攻略対象キャラ』の皆様も……

 出来る限り良いエンドになるよう頑張りますわよ」

▽ホヨヨ

「わお~ よいですね~」

▽ワルミ

「それにしても………あなた確か転生前は男の子でしたわよね?

 その…女の子の体になっていろいろ不便じゃありませんこと?」


▽ホヨヨ

「………え? ホヨはオトコですよ?」


▽ワルミ

「………え? でも顔つきは女の子そのものだし、制服だって………」

▽ホヨヨ

「制服は間違えて来た女子用をお母ちゃんが面白そうだからってそのままに………」

▽ワルミ

「原作でも女性だったし……… えっ マジ? マジですの?」

▽ホヨヨ

「はい」

▽ワルミ

「え゛ぇ~~~~~はいじゃないが~~~~~~~~~~~

 原作より背が低くなっててめっちゃぷりち~だと思ったのに~~~~~

 あ~いや わたくしも他人の事言えませんわねぇ~~~」

▽ホヨヨ

「とすると明都院さんも原作と見た目が違うんですか?」

▽ワルミ

「あ~ ワルミでいいですわよ わたくしもホヨヨくん…

 いやホヨヨちゃんとお呼びいたしますので そっちの方が似合いましてよ


 そうなんですの~ 本来はもっと背が低くてスマートなお嬢様でしてよ…

 でも身長は180cm近くあるし胸や腹や尻だってだいぶワガママに………

 前世の運動不足が祟っていたのなら本当に申し訳ない事をしましたわぁ~~~!」

▽ホヨヨ

「ほへ~」

▽ワルミ

「はぁ~~~ まあいいですわ 今更背は縮まりませんし

 これから早速ダンジョンの下見をしようと思いますが………

 ホヨヨちゃんも一緒に行きまして?」

▽ホヨヨ

「え! いいんですか! ホヨも行きます!」

▽ワルミ

「そうこなくっちゃですわ! さあ運動着に着替えますわよ!!

 武器ならわたくしのを貸しましてよ!!」

▽ホヨヨ

「わ~~~!!」




 ワルミちゃんと初めてのダンジョンダイブが始まります。結界の周りでは生徒達がこちらを見てヒソヒソと話しているようですが……おっきい人とちっちゃい人が一緒にいると確かになんだか面白いですね。同じ年齢というのもポイントです。フスス。

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