第5話 PLAYER_1_READY...

 あ!! 朝です!!! おはようございます!!!!!


 なんだかヘンな夢を見ていたような気がしますが……ホヨにはよく分からないをしますね~。なんでしょう? 何か忘れているような……


 あ!! すごい!!! 忘れていたのはホヨの記憶でした!!!!! 何かこう……すごく思い出が蘇ってきます!! 分かりますか? ホヨはなんとホヨではありませんでした!! わお!! 我思う故に白アリですね!! やかまシンタロー!!



 ……なるほど、ここが【ラブたん】の世界ですね。【前世】と【キャラ】の記憶をゆっくりと整理して……よし、大丈夫。慣れてきました。ボクはホヨ。



海月野 火夜代みゆえの ほよよ】です。



 ホヨはお父ちゃんとお母ちゃん、お姉ちゃんの4人で富士山の麓に出現した【フジヤマダンジョン】を中心に栄えている都市群【静岡都】に住んでいます。そこには【フジヤマ冒険者学園】というダンジョンを探索・攻略し資源とお宝を集める者達……【冒険者】を育成する為の専門学校があります。中等部と高等部がありエスカレーター式になっていますが、高等部1年からは【外部生】として1クラス分追加し他校から編入出来るようになっています。

 そしてなんと! ホヨは厳しい試験に見事合格しその外部生としてフジヤマ学園に入学する事になったのです! 頑張りましたね、ホヨ。

 ちなみに両親は実家も兼ねている【海月野工房】で冒険者や一般人向けにアウトドア用雑貨や金属・革・布製品を製作・修理・販売していて、お姉ちゃんはダンジョン付近にある【冒険者ギルド】の受付員パートタイマーをしています。


 ……それにしても。


 ゲームのキャラクターに転生すると言われて、双方の人格とか記憶とかどうなっちゃうのかと思っていたら……どうやら前世のボクの記憶は全て消え去ってしまったようです。もう自分の名前すら思い出せません。ただ『転生した』という感覚だけが残っています。


 そして今日は……フジヤマ学園入学の1週間前。時刻は朝の6時10分。うむ、よい目覚めであります。眠気覚ましにふにふにとお顔をマッサージ。素晴らしい弾力……ほっぺもよく伸びます。よいですね~。


▽海月野家長女:千理々ちりり

「あら? ホヨちゃん…いつになく早いわねぇ~

 どうしたの? 学校が楽しみで眠れなかったの?」

▽海月野家母:瑞菜みずな

「まぁまぁ~…ほーちゃんはどんな時でもしっかり眠って全然起きないのに…

 でも冒険者学園だものねぇ~ やっぱり特別なのかしら?」

▽海月野家父:たたら

「ふむ…頑張って寝坊癖を直そうとしているのかもしれないね

 偉いぞ、ホヨ」


 トントンと軽い足取りで居間へ降りると、家族みんなが柔らかな笑顔で迎えてくれました。ホヨも、笑顔で返します。


▽ホヨヨ

「ホヨはもうすぐ高校生です!

 しっかりとしたオトコになって、リッパな冒険者になるですよ~」


 何でもないただの日常。それでもホヨにとっては何よりも愛しくて。


▽ミズナ

「え~ でもぉ~…ほーちゃん宛ての制服、女子用だったわよ?

 替えようかと思ったけどぉ…似合いそうだからそのままにしちゃった♪」

▽チリリ&タタラ

*麦茶を吹き出す音*

▽ホヨヨ

「わぁ~~~!! なんでですか~~~!!!」

▽タタラ

「なんッ………いや…確かに見た目は………ン゛ッフ!」*むせる*

▽チリリ

*声にならない笑い*


 のんびりした様子で衝撃の事実を突きつけてくるお母ちゃん……その傍らには蹲りながら自身の脇腹を押さえているお父ちゃんとお姉ちゃん。例え女装で登校する事になったとしても、この日常を守れるくらい強くなってみせます。

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