第36話 共に立つ
わずかに減衰した
FC vanguardのメンバーたちが、次々に共鳴していく様を見て、ただ羨ましく思っていた。なぜなら、
ただ、
……あまりに小物すぎる。古豪を名乗れるだけのチームを背負うに値する存在だとはとても思えない。明らかに
きっと、この勝負に負けたら、
でも、今は違う。このまま終わらないのだろうと思っていた主力2人の諍いが終わりを迎え、歯車が大時計を動かす瞬間を初めて目撃するときのような期待感が吹き抜けた。彼らの生き様をずっと見てきたからこそ感じられる、とんでもないやつらが手を組んでしまったという高揚感が、腹の底から湧き上がってきた。
今、自分がこのシュートを止められなければ、自分はその輪の中にいられない。なんなら、ここで僕が皆の奮起に応えることができなかったら、奮起した者たちの評価すら濁るかもしれない。一丸となって戦っていない、プレーは良くても人間的にダメなのだ、所詮2位争いしかできないチーム。負けてしまったら、負けた理由だけが突き付けられる。彼らの努力を、積み上げてきた時間を知りもしないやつらに、そんなことは死んでも言わせない。
自他ともに認めるハリボテの存在であっても、足を止めることのできなかった誇りがある。何度捨てようと思っても捨てられなかった、仲間がいる。僕は、部長だ。
岩壁を貫く弾丸に、大きな影が落ちる。
FC vanguardの太陽ともいえる一撃を封じるかのように、しめ縄の結界を纏った隕石が、大空から降臨した。光すら飲み込むほどの粉塵のなか、外界からの攻撃を防ぎきった岩戸が口を開く。岩戸の隙間から漏れ出る光は、まるで日の出のように輝いていた。
「カウンター!!」
堅守速攻。
相対するFC vanguardの守備陣は2人。
吹き荒れる砂塵の勢いを利用するように、
それに対抗するように、
4名全員を無差別に強襲する落雷と共に、ボールは地へとたたきつけられた。停止する時の中、
凝縮された黄金の雫から放たれた金の嵐は、覚醒寸前の
竜巻の中舞い踊る金粉。それに、
「
「来い!
光すら飲み込む黒い竜巻と、それを取り巻く雷竜。二重の渦を纏った災禍が、抵抗する2人の人間を襲う。
2-2
敵の技すら利用した合技は、天地に双び立つものは無いと言わんばかりに猛り狂い、敵の城を食い破ってしまった。
この瞬間をもって、両者ともに敵の喉笛を食いちぎる手段を持つに至った。この先は、いかにそれを防ぎ、いかにそれを通すかの戦いとなっていく。無論、互いの戦力に変化が無ければの話だが……。
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