第35話 作戦は破綻するもの
(
(リスクを取って点を取りにいく)
相手が作戦を変えてくると確信した場合、ハーフタイムでの作戦会議の重要性は、細かな微調整ではなく、大筋の戦略を決めることにある。なぜなら、仮定した条件のほとんどが砂上の楼閣のごとく脆くはかないものだからである。
そして現在、両チームが立てた作戦は、中央での力戦という形で崩壊した。FC vanguard陣営は、想定を上回る敵の攻勢に中盤でのキープへ甚大な労力を割かされ、
全ては、オフサイドラインが原因だった。
しかし、唯一両者の戦略と予想が噛み合っていた場、すなわち
「さて、どうするか。」
「……。」
マンマークというのは、マークにつく側もつかれる側も同じぐらい疲れる泥臭い戦法だ。マークにつく側は、相手を自由にしないために、決して相手の背中から手を離してはいけない。マークされる側はそれがうっとうしく、思ったようにプレーさせてもらえなくなる。
本来であればこのような図式が成り立つ戦法だが、この場では違った。
(理論的には簡単だったんだ。誰でも倒せるけど厄介な相手だから、こいつにかき乱されないよう担当者を決める。でも、その他の脅威に目がいっちゃって誰も触れなかったけど、こいつの素のスペックってとんでもねぇんじゃねの?)
ボールを持っている
「そういやさ……」
「あんたって30m走どんな感じ?」
「30m…?は、分からないけど、50mなら6秒台だ。」
「そう……か。そういう感じか。まぁいっか。」
「急にどうしたんだ?」
「いや、こうやって棒立ちしてるのも飽きたかなと思ってさ。」
その言葉に、
「楽しい楽しい鬼ごっこといこうか。」
・ ・ ・ ・ ・
「クッ…ソォ!」
突如走り出した
人間の脚の裏側には、ハムストリングスという加速筋が存在する。そして、それに連動するように脚の裏側の筋肉は加速に役立っていると言う。
だが、
つま先は本来ブレーキの為に用いられるもので、加速するためだけならばかかとだけで事足りるという説がある。かの宮本武蔵も、つま先は脱力し、かかとに溜まった圧力の反作用で踏み込みを行っていたそうだ。これによって、微弱な重心移動からの爆発的な加速を可能にした
そんな超人的な行動を踏み台にして
その行為に最も驚かされたのは、
ペナルティエリア中央でボールを受け取った
(取れる。)
そう思った
「
無慈悲に放たれたシュートが、
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