第34話 それぞれのハーフタイム
~FC vanguardサイド~
レジェンドリーグ初の、得点をリードした状態で迎えたハーフタイムは、リードしてるとは思えない緊張感で始まった。
「同じ攻撃は通用するのか?」
そう全体会議に問いかけたのは
「現在うちが持つ有効的な攻撃手段は3つ。1つは
「そうだね。少なくとも、リードしているうちはやめておこう。
「基本、人数を割いて止める以外ないと思います。突破力・得点力共に高水準ですから。ただ、さっきみたいに完全にフリーな状態じゃないとシュートを打つのは厳しい気がします。」
「
「おでは、えっと、ボールを持つことができたら何でもできると思うど。」
どこか申し訳なさそうな
「そりゃ頼もしい限り。」
「本当だね。じゃあ、
「リードしているうちはゴール前でいいんじゃないですか。敵の主力を
「そうだね。もし点を取り返されたら中央まで下がってもらって攻撃の起点になってもらいたいところだけど……。」
「問題はそこですよね。」
「……そんなに考え込むほどのことなのか?前半みたいに
そう
「まさに、それが問題の核なんだよ。
「?」
「このパターンで動く場合、
確かに、
「俺を完封するのはそんなに難しくない。」
無能力の人間を抑え込むのはたった一人技を使える人間がいれば大体問題ない。
「
「潰せるもんならやってみろってんだ!」
「まあそう憤るな。最悪を考えた場合、
そう
「なんか難しい話してるとこすまねぇがよぉ。要は、まだ攻撃力が足りねぇってことだろ?」
「
関係者以外立ち入り禁止のこのエリアになぜか
「よぉ、久しぶりだな
何も気にしない様子でそう言ってくるので拍子が抜ける。
「
「……それを示すのは、自分が適任だと言いたいんだね?」
「さっすが、話が早くて助かるぜ。」
大げさに
「ちゃんと話は聞いてんだよな?」
「あぁ。」
「お前が3人目だ。へっぽこストライカー。」
静かなにらみ合いが勃発する。
「お前、あんまりうぬぼれるなよ。」
「……うぬぼれてなんかねぇよ。」
「おいおい!随分と返答がゆっくりじゃねぇか!!自覚してんじゃねぇの!?てめぇの空っぽさをよ!!」
煽る
「凡人は妄想し、天才は事実をかき集める。お前が心底憎んでる天才はそうやって強くなってきたんだ。……で、お前が積み上げてきた事実は何だ。不屈の精神か?凡人の光になったときのファン対応か?違うだろ。お前が積み重ねてきた事実は、そんな小綺麗なものじゃねぇ。思い出せ、なんでお前が負け続けてもなおサッカーを続けたのかを。まさか、諦めないことに価値があるだなんて言わねぇだろ?」
「……俺は、」
「おっと、返答はフィールドの上の事実で頼むぜ。こんなとこで吐いた言葉なんざ、ただの妄想だ。」
そう言い残して、
その後再開した会議の結論は、
~大国天原サイド~
「
「具体的には?」
「日元には
「
「雑なパスは
「……攻撃は?」
「リスクを取らずに点を取ることはできない。」
その言葉を聞いて、そのリスクが、守備が薄くなるというだけのリスクでないと
思想ばかりで実力が伴わなかった若者。成功の奴隷と化した功労者。若者は、功労者のことを過去に囚われ未来を諦めた軟弱者だと嫌悪し、功労者は、若者のことを何もわかっていないにもかかわらず、血反吐を吐きながら積み上げた基盤を崩そうとするならず者だと嫌悪した。ただ、どちらも勝利を求めていた。それだけは間違いなかった。
過去の過ちを謝る気はない。相手にも非があるのに、こちらだけが謝る気など決してない。ましてや、お互いに仲良くしようねなどと言うことはあり得ない。だが、それでも……
「「やるぞ。」」
過去と未来、互いに望む過程は違えど、望む結末は同じだった。今この瞬間、大国天原にチームの芽吹きという風が吹いた。
後半戦が始まる。
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