第32話 逆罰
開始早々展開された
着地した結晶は一瞬にして花開き、チリチリとした結晶の風を感じた人間を弾き飛ばすかのように神々しい黄金の樹氷を生み出した。その空間にいることを禁じられたかのように弾き飛ばされる面々のなか、
崩壊した竜巻が生み出す突風に巻かれるように黄金の花びらが散っていく。両者の技の残滓が残る空間に打ち上げられたボールを先に獲得したのは、
綺麗に術中にハマってくれた
「俺の勝ちだ。」
「そうだ、それでいい」と笑う
陸上競技などでよく見られる現象だが、100m走である1人が9秒台を記録した後に、他の選手も次々と9秒台を記録しだす現象がある。この原因は分からないが、きっと「人間ってここまでやって良いんだ」という意識に起因しているのではないだろうか。先ほど
とはいえ、
不気味に揺らめいた
「私たちの勝ちだ。」
技の硬直から解放された
・ ・ ・ ・ ・
打ち上げられた状態で、
中高一貫校である
でも、あるときその考えが変わった。自分に、サッカーの才能があることに気づいた。それと同時に、空白など無いと思っていた地図が、己の空想で紡がれていることに気づいた。事実を見れば、どこまでも改善できる余地があることに気づいた。
そうと分かれば行動は早かった。神のように思っていた
俺が正しくてあいつが間違ってるとかじゃなかった。強いて言うならどちらも間違っていた。あいつは成功体験に囚われてしまっているし、俺は不満ばかりで実績が無かった。どちらも全国で1位を取るという目標は同じだったというのに。成長は一直線じゃない。古いやつらの道を繋いでいくために新しいやつらがいるわけじゃない。全員で円の中心を目指して切磋琢磨するために俺たちはチームになったんだ。
この逆境は俺の罪だ。他人を蹴落とすことばかりで己を見失っていた俺自身の罪だ。故に、
瞬間、青い雷が空中の
時が止まったように全員が行動を奪われている間に、ボールはころころとある男の足元へ転がっていった。止まった世界で一番初めに動き出したのは、足にボールが当たったその男と、
「
遠くで
「いるぞ!!!」
その思いに応えるために、
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