第5話 仲良しグループと初旅行
剣道に入門して仲良くなった同じ大学の二人(院生M2男子、学部生4年男子)とは、特別に気があってしょっちゅう飲みに行ったり休日に映画に行ったり、ディズニーにも何回か行ったし、健康ランドまで行ったりするようになった。前にも書いた通り。
で、3年生の終わりの春休み、箱根に二泊旅行にしようということになった。修士論文が無事に通りそうなAさんの打ち上げ、4月から就職するBさんの壮行、で私は?四年生になるだけだけど、まあ、そういう名目で。
男子二人女子一人と性別をまたいだ仲良しグループなわけだけど、これまでとくに性差を感じることなく遊んできた。性差が意識されないからこそグループで楽しかったんだと思う。剣道つながりなので私に「女の子」が求められないところから交友が始まっているっているのが大きい。とても心地よい三人グループだ。展開する会話もいつも楽しい。私に対してエロい視線が向けられることもなく、なので自然につきあえた。ま、この二人は要するに私からは女の成分を感じていないってことなんだと思う。
でも男子二人からすると、泊まりに行くとなるとちょっと違うらしい。旅行計画がなんとなく出てきた時、私は、
「いいですね!いきましょうよ!」
とすぐに賛成したのだけれど、二人は女の子と一緒に泊まりの旅行に行っていいのかなという雰囲気だ。
私的には、え?どういうこと?という感じだったんだけど、要するに私が男二人と泊まりに行くのを不快に思うのではないかという私に対する遠慮があるということのようだ。特に旅館に泊まるとなると、いつものノリだったら同じ部屋に泊まるのが自然だけど、まさかそれは無理だよね、ということ。
「なにそれ。そういう遠慮、かえっててエッチっぽくて嫌な感じですよ。私たち今まで男女感じたことないじゃないですか。」
「あ、でもさ、ほら、同じ部屋で寝るとかなるとさ・・・」
「なんかやらしいなー 襲ったりしたいとか思ってるんですか?わたしのこと。」
「いやいやそんなんじゃないけど、でもユキちゃん気にならない?」
「ぜんぜん。え、もしかして私にエロ感じたりしてるんですか?」
「うん、ちょっとね。」
「きもっ!」
・・・と、いつもの調子で三人ででだらだらだべって、お互い気にしないということになって三人同じ部屋に泊まることになった。旅館の人に変に思われないよう予約の時、ちょっと苗字を操作して兄弟妹だってことにした。
*
ここに書く時なぜかちょっとエロ入ってることが書きたくなってしまう。旅行中、いろいろ楽しいことがあったけど、それはカットして「普段他の人にいえない部分(=エロが入っている部分)」について呟いてみることに。
2日目の夜。温泉入って浴衣を着て部屋で食事というお決まりのパターン。兄弟仲良くっていいですね、と言われてしまう。
食後、食器類を片付けてもらった後、浴衣のまま車座になっていつものようによもやま話。泊まりに来たといういつもと少々異なるシチュエーションだからか、今までほとんどしたことなかった話題になった。今までの彼氏/彼女についての話題。意外にもこの話題は初めて。
この話題、私には山ほどネタがある。今までの彼氏は二人なので山ほどって感じじゃないかもしれないけど、でも彼女の二人いた。となるとけっこう持ちネタ多い方だと思う。この二人にも誰にもいえないくらい生々しいものもあったりするので持ちネタ全部喋れるわけじゃないけど。
で、男子二人はどうかな、実は女の子経験豊富なんじゃないかと思いきや、なんと、二人とも彼女いない歴=年齢とのこと。え、じゃあ彼氏はいたの?とすかさず聞いてしまったが、それもなし、とのこと。
「現在」彼女がいないということは何度も話題になってたので知っていた。私も現在彼氏いないということも二人は知っている。(実は私には現在彼女がいるのだけれどそれはまだ告白できないでいる。)
そうか、M2のAさんは24歳、4年生のBさんは22歳。(ちなみに私は21歳。)彼女いない歴:22~24年か。女の子と手を繋いだこともないし、キスもしたことない。もちろんリアルで女子ヌード見たこともなければ、触れたこともない。いうまでもなくあれもしたことない、と。
あ、いわゆる童貞なんですね。とは口に出さなかったけど年上の男の人の童貞って想像もしたことなかったので結構びっくりした。私の想像力の欠如が問題なんだろうけど。
ともかく女の子に縁がなかったことを、AさんもBさんも悲痛な面持ちで語る。彼女どころか気軽に話せる女の子さえいなかった、と。ユキちゃんとこうして友達になれたおかげで、いままでの人生で一番たくさん女の子と話ができたという。
それはかなり意外だった。二人ともイケメンで爽やかで清潔で、シュッとしてていい感じなのに。しかも男子の場合T大生はモテると聞いている。自分の経験上、女のT大生は他大の男子にひかれることばかりだけど。
さらに二人が言うには、こんな歳まで女の子とほとんど喋ったことなかったから自信がなかったけど、ユキちゃんのおかげで自信がついた、とのこと。
ありがとう。と感謝されてしまった。・・・なんかしんみりしてしまうではないか。
湿っぽいのはやめようよ、せっかく旅行に来たんだから。と、話題を変えようとしたのだけど、この話題についてまだ自分の話をしていなかった私に当然のように発言が求められた。で、ユキちゃんは?、と。
すかさず、えー 私中高女子校だったから彼氏いなかったよ、とだけ言ってみる。え、じゃあユキちゃんも彼氏いない歴=年齢なの?とAさん。んー と言葉に詰まっているとBさんが大学でもずっと彼氏いなかったの?と聞いてくる。イギリス留学中に、フランス人の彼氏がいたことを話す。もう別れたけど、と。そうなんだ!今までなんで教えてくれなかったの?と、二人を沸かせてしまった。留学中の恋愛だってことであんまりリアリティを感じてくれなかったようで、全然詳しいこと聞いてくれなかった。というかちょっとほっとした。留学前にも日本で彼氏がいたことは黙っておいた。
*
二人とも彼女がいたことないことが随分とコンプレックスになっていると、神妙に語り続ける。自信がないんだよ、と。手も繋いだことないし、とそんなことばかり繰り返す。
「元気出してくださいよ!じゃあ今日はもう、初体験大会にしましょうよ!」
と場の盛り上げにかかった。
「じゃあまず手繋ぎ初体験ね」
と、Aさんの手を取って手を繋いだ。ついでBさんの手も握った。恋人繋ぎもしてみる?とAさんとBさんの手を指を組んでかわるがわるぐっと握った。
「ほら。これで女の子と手を繋いだことあるって言えますよね!」
「え、でもさあ・・・」と二人。
「ん?私とじゃ女の子と手を繋いだことにならないとか?」
「そんなことないけど・・・」
と、二人ともなんだかもじもじしている。
「ほら、恋人繋ぎってあるじゃん?」
「Aさん、なんかやらしいですよ。こういうやつですか?」
と、指を交互に絡ませて二人と手を繋いだ。
軽口を叩き合っているうちに、いつものような盛り上がりに戻った。で、おふざけゲームのようにな状況になって、「僕たち、自信をつけてもらう大会」のようなノリになってしまった。
キスしたことがないと言うので、じゃあキスの初体験しましょうよ!と言ってしまった。私、調子に乗りすぎてるかも、と思ったけれど言い出してしまったので引き返せない。二人に順番に唇にをちゅっとくっつけた。
今度はBさんが
「キスって、そう言うのじゃなくて、あの...」
というので一瞬、順番ににゅっと舌を入れてみた。なんかドキドキしてしまった。しかも二人とも黙ってる。
「なんか言ってくださいよ・・・恥ずかしいじゃないですか」
というと、
「あ、あの、すごく感動しちゃって」とBさん。
Aさんは「興奮した」と。
「その感想、なんかやらしいですよ。」
*
どんどんエスカレートしてしまった。
リアルで女の子の裸見たことないと言うので、
「じゃあ私のみて初体験しますか?トラウマにならないでくださいね」
とかなり調子に乗ってしまっていた私は、そんなことを言ってしまった。
しまった。それは無理、というべきだった。でも気まずい雰囲気にしちゃいけないと思って、浴衣の少し開いて胸の谷間を見せてみた。ブラジャーはしてないので慎重に左右に開いた。
「はい!リアルの谷間です。」
と、おどけ気味に言うと、
「それ裸じゃないよね」と二人が口を揃えていう。ちくしょう、二人とも調子乗ってやがるな。
もういいや、えい!っと言う感じでガバッと浴衣の前を全開した。下着をつけてないのでもちろん二つの房がむき出しに。
「おお、ユキちゃんにもちゃんと立派なおっぱいあるんだ。感激!」
Bさんが手を伸ばそうとするのでパチンとはたき落として、前を合わせた。
「女の子の胸見ておいて「立派な」ってなんですか。全然全エロ感じてないんですね。ひどいなあ」
私としても修学旅行の女同士のおふざけのノリではしゃぎすぎてしまった。相手が男子だってことは忘れて、というかこれまでの仲なので、男子って感じがしていない。二人も、まさか私にいまさらエロ感じたりしないだろうし。
「全裸はやっぱダメだよね」と二人が言うので、
「もし二人とも先に全裸になってくれたらいいですよ。私だって見たいですよ!」
と、また調子に乗りすぎたことを言ってしまった。
そこでふと視線を二人の股間に向けてしまった。その視線に気づかれたかもしれない。二人は頑なに、無理、無理とくりかえす。
「なんでですか?私の胸見て、もしかして大きくなっちゃってるとかで恥ずかしいとかですか?」
と、酔いもあってSのノリで二人に圧をかけてしまった。
「いやちがうけど・・」
「え?じゃあやっぱ私の胸じゃ大きくならないんですね・・・悲しいなあ」
と揺さぶりをかけてみた。
結局、三人で同時に浴衣の前を2秒間開いて見せ合うと言うことになった。まずパンツを脱いで、でいっせいのせ、で前を開く。
はい。それでAさんとBさんの前をばっちり見てしまった。角度は違うけど二人とも上向きになっていた。Aさんは水平より少し上の角度、Bさんは完全に上向き。毛が茂っていて全貌は見えなかったけれど、久しぶりに男の人のをリアルで見て、興奮してしまった。
二人のアレを見ることに気を取られていて、自分も見られているのも忘れて、恥ずかしいとか感じる余裕もなかった。そう、私下の毛がないから、そういうの初めて私の裸を見る男の人がどういうふうに思われてしまうかと、本当は恥ずかしさを感じるポイントだったと思うのだけれど、忘れてた。結局何も言われなかった。ふつう言わないか。それとも胸だけみてたのかな。
AさんもBさんも「めちゃめちゃ恥ずかしかったよ。見られるのも初体験だったし。」
「っていうかさ。ユキちゃん、俺らのかなりガン見してたよね」とAさん。
「うん。みたみた!じっくりみました」というと、
「俺らも、ユキちゃんじっくりの拝ませてもらったよ。ありがとうね」
ありがとうって、なんだよ。興奮したよ、とか言ってくれる方がホッとするのに。
「そういえば、裸って前だけしか見てないけどいいんですか?」と挑発してみた。
「え?後ろも見たい!」と二人が揃って応答する。
「調子乗らないでくださいよ!」と私。
*
たぶん、三人ともじゃあ、あれの初体験も、という流れになるかもと頭の中で描いていたと思う。少なくとも私は思ってた。調子に乗っていたとはいえ、流石にそれは言い出さなかった。でも、もし二人のうちどちらかが言ってきたら、してあげてもいいかも、とちょっとは思っていた。すると言ってもどこまでかと言うことなのだけど、手でするとか、口でするとか、本当に入れさせてあげるとか。でも友達の間柄でそういうふうに一気にエスカレーションするのはは下品な気もするし。
そうであっても、二人が喜んでくれるのならいいかなと言う気持ちでもあった。でも、それを私から言うのは、あまりにも二人を侮辱したことになるのではと思って言わなかった。そう言うのは、やっぱちゃんと彼女とするものだろうと思う、最初は。
ここだけの話、実は私は途中から実は濡れてしまっていた。パンツを脱いだときに気づいた。
*
エロの話しか触れなかったけど、今回の旅行、そのほかいろいろほんと楽しい旅行だった。
またこういう旅行しようね。Bさんは就職だけど一泊くらいならいけるよね。春にまた行こう!ということになった。
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