第2話 ハッピーバースデー!くりぃむしちゅーまちがいで、大人の男2人が、死にました。この首は、どうしたら良いんでしょうか?

 はい、続き!

 クリームシチューの冒険が、続く。

 まずは、メタバースの世界についてだ。

 外見で、何かのコンプレックスを持って引っ込み思案になっていたような子でも、メタバースの仮想世界にいけば、変われるかもしれない。

 その空間でずっと暮らすっていうのは、きついけれどね。

 24時間、スマホやVRゴーグルの電源を接続していなくちゃ、ならないんだろうから。

 「でも、良いか。さあ、いこう!」

 僕は、メタバースの仮想世界の中で、どこかの国の大草原を、歩いていた。

 「…え、だれ?」

 白いあごひげを生やした老人が、手招きをしていた。

 目の前には、学校の見学でいった、パン工場と同じような建物が、建っていた。

 建物からは、灰色煙突が伸び、香ばしい匂いの煙がただよう。

 「もしかして! SNSで話題になっていた工場?」

 高齢者が、手招きを続ける。

 「まさか、あそこに泊まれっていうの?…あの人って、あの建物のオーナーなのか?」

 建物の中に、入ってみた。

 「メエエ…」

 「ブウウ…」

 ヤギと豚が、柵につながれて鳴いていた。

 どこかから、 2人くらいの出す泣き声も聞こえてきた。

 「あのう…」

 「何じゃな、客人よ」

 「あの 2人の泣き声は、赤ちゃんや子どものものでは、ありませんね。…どうして、泣いているんでしょうか?」

 「それはな?」

 「はい」

 「おびえておるから、じゃよ」

 「…え?」

 「君に、ご飯をとられるんじゃないのかっておびえる、くりぃむしちゅー殺しの泣き声じゃよ」

 「どういう意味、です?」

 「難しいか?あなたのような日本人には、命の感覚が、少ないからな」

 「…」

 はて?

 外国に、きてしまっていたんだろうか?

 どうやら、ヤギと豚は、集落の皆のご飯になる予定の命だったらしい。それを、どこかの 2人は、僕にとられたと感じて、泣いていたわけだ。

 「そうだったんだ…。外国では、わがままな考え方では殺されたくないと感じている命を、その、わがままな代表である人間が奪うことで、生活を成り立たせていることがあるんだな。なるほど」

 僕は、また、頭が良くなれた気がした。

そのとき、僕の気持ちと頭が、ふっと、軽くなった。

 自分自身で装着していたVRゴーグルを、外したからだ。

 結局、老人にすすめられたメタバース空間の館には、泊まらなかった。

 「ただいま」

 玄関から、お母さんの声が、響いてきた。

 「おかえりなさい」

 「さあ、夕食にしましょう!」

 「うん」

 「ハッピーバースデー!」

 お母さんは、男の人の首を 2つ、かかえていた。

 「ねえ、お母さん?」

 「何?」

 「僕の好きなアレって、どういう字を書くんだっけ?」

 「どうって…。何を、言っているの?」

 「だから、どう書くんだっけ?」

 「くりぃむしちゅー、でしょ?」

 やっぱり。

 それ、ちがうよ。

 小学 6年生の集まる全国模試で、トップ10に入るくらいの子の親って、案外、こんな感じなのかもしれない。

 「カイジャリスイギョなまちがいに、おめでとう!」

 「いただきます!」

 今夜も、クリームシチューが、美味しい。

 それは、そうと…。

 この、クリームシチューまちがいな2人の男の首は、どうしよう?





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(ちょこっと短い話)くりぃむしちゅーのかんちがい。あなたが思うのは、どっち? 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

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