最終話:不気味な現象
その後も、大学の理科室に厳重に封鎖された部屋についての怪奇現象が増えていった。学生たちの間では、その部屋が呪われているのではないかという噂が広まり、誰もその場所に近づこうとしなくなった。
ある晩、学生寮に住む友人のエミが、大学のパーティーでの盛り上がりが収まった後、仲間たちにその部屋の話を聞かされた。興味津々な彼女は、自分で真相を確かめることを決意し、勇気を振り絞ってその部屋に足を踏み入れることにした。
寒い夜の闇に包まれながら、エミは封鎖された部屋のドアに近づいた。部屋からは不気味な光が漏れているようにも見えたが、エミは恐れを振り払い、ドアを開けるために鍵を探し始めた。
しかし、彼女が鍵を探している最中に、部屋の中から怪しげな音が聞こえ始めた。それは、足音や囁き声のようなものだった。エミは心臓がバクバクと高鳴るのを感じながらも、探索を続けた。
やがて、鍵を見つけたエミは部屋の扉を開け、中に足を踏み入れた。そこには、以前に見た腐敗した生物の遺骸がある容器があった。それは、まるで生物の怨念が込められた禍々しい空気をまとっているように感じられた。
すると、突如として容器が揺れ始め、中の遺骸が蠢き出すような気配がした。エミは恐怖に身を震わせながらも、何が起きているのか理解できないまま、呪われた部屋の中で囚われのように感じた。
すると、部屋の中から幻想的な輝きが現れた。その光は次第に激しくなり、まるで生命のエネルギーが宿ったかのようだった。エミは目を細め、光の中から人間のような影が姿を現すのを見つけた。
その影は次第に具体的な姿を現し、透明な人間の姿をしていた。しかし、その表情は哀れみに満ち、背負っている苦しみがひしひしと伝わってくるようだった。
「誰ですか…?何故ここに…?」エミが震える声で問いかけると、影は深い悲しみを込めて囁いた。
「私は…かつてここで禁断の実験を行った者の魂…。彼らが生み出した恐ろしい存在に囚われ、苦しんでいる…。」
エミは驚愕の表情を浮かべた。かつての実験が、禍々しい生物を生み出すことで失敗に終わったことを知っていた。そして、その失敗が生物の魂を閉じ込め、恐怖に苦しめていることを理解した。
「どうして…どうしてその実験を行ったんですか?」エミが問い詰めると、影は絶望的な声で答えた。
「彼らは力と栄光を求め、知識の領域に手を伸ばした。しかし、その結果は悲劇でしかなかった…。」
エミは、かつての研究者たちが欲望と野心に取り憑かれ、結果的に多くの犠牲を出したことを嘆き悲しんだ。その罪深さが、部屋の中に不気味な雰囲気を醸し出す要因だと感じた。
影はさらに語り始めた。「私はこの苦しみを終わらせる方法を知っている…。私の魂を解放してくれれば、この部屋の呪いは解ける。」
エミは葛藤しながらも、彼女の苦しみを理解し、彼女を解放する決断をした。そして、影の言葉通り、彼女の魂が部屋から解放されると、部屋の中に漂っていた不気味な雰囲気が一気に消え失せた。
以降、封鎖された部屋には不気味な現象は起きなくなったという。エミはその後もその経験を胸に刻みながら、研究者たちが過去に犯した過ちを忘れないように心に誓った。そして、彼らの野望や欲望が再び同じ過ちを繰り返すことのないように、警鐘を鳴らし続けるのだった。
過去の秘密 -封鎖された理科室の呪い- O.K @kenken1111
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