第24話 ほんのちょっと

次の日。学校で江崎の目を盗む様に、あゆむさんが二次会の後ウチに来ることを内村さんに伝えた。

この際、俺が偶然あゆむさんに出会って江崎に引き合わせるという設定にしてはどうかと持ち掛けた。


内村さんが、江崎に黙ってあゆむさんに会い行って約束を取り付けたと言うよりも、江崎の心情的にはその方が良いのではないかと思ったからだ。

江崎の話を本人から聞いている俺の方が、二人を引き合わせようとするのは自然な気がした。

「じゃあ24日はやっぱりパーティーするわ」

内村さんは二人きりだと江崎が来ないだろうから他の人も呼ぶと言う。

「ホンマはそっちがメインやねん クリスマスを一緒に過ごさせてあげたい子らが居って…もう出来上がってるクセに 今一歩決め手に欠けるっていうかモタモタしてて、どん臭いねんホンマ」

内村さんは歯痒そうに言った。そして、

「24日ウチまで江崎君のこと迎えに来てあげてな」

と俺の目を見て言った。

「迎えに行く前に電話する」

「うん、電話があったら江崎君には石田君が来ることだけ言うとく」

江崎に心の準備をさせてやれないのは申し訳ないが、こうなったら出たとこ勝負で無理矢理にでも逢わせてしまおう。後でどんなに詰られても構わない。色々思い悩むより、とにかくあゆむさんと江崎を逢わせる。江崎のためじゃなく俺がそうしたいから。


「内村さん大丈夫?夜、独りで寂しくない?」

パーティーの後、クリスマスの夜を独りぼっちで過ごす内村さんが心配になった。

「大丈夫。友達に泊まりに来てもらうから」

内村さんはにっこり笑った。でも俺にはほんのちょっと寂しそうに見えた。

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