エピローグ1.0

 ホマレが死んだあとの諸々の手続きや葬儀を済まし、近所の爺が餓死すると訴えていたので店を再開した。

 ある夕暮れ時のことだった。

「ねえそこのお爺さん、この店って何が美味しいのかしら?」

 一仕事終えた帰りなのか血塗れのスーツ姿の暗殺六課課長が店に入ってきた。

 爺の隣の席に座り、爺に馴れ馴れしく話しかける。

「焼きそば」

 爺は今日も焼きそばを食べていた。

「じゃあ餃子と炒飯お願い」

「小娘!!焼きそばを食べろ!!」

「お客さん、お客さんに絡まないでください」

 爺は焼きそばが一番この店で美味いと思っていて、かつ酒が回ると客に絡むことがある。そういうときは店の外のゴミ箱に頭から突っ込んでおくと大人しくなる。

「ねえ、こんな中華料理屋の店長なんかじゃなくて暗殺六課で楽しく仕事してみない」

 暗殺六課課長は私をスカウトに来たようだった。

「お断りします」

 ホマレは死んでしまい、自分には何も無くなったが、爺は私の作る焼きそばを必要としている。爺が死ぬまでは店を開けておこうと思っている。


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