携帯電話

 とりあえず、電話してみることにした。


呼び出し音3回で、ガチャッと出た。


「プーちゃん?着いた?」


第一声が これ。

わたし、名乗ってもいないんだけど。


「あ、うん。今日、届いてた」

「今日か、ちょうどのタイミングだな~。

誕生日おめでとう!」


「えっ?」

わたしの誕生日を覚えてたの?

6年前に別れてるのに。

「わたしの誕生日、覚えてたの?」


「あ、なんかね。

覚えてるとも思ってなかったんだけど、携帯電話買う時に、書かされた紙に、スラスラ書いちゃった。

プーちゃんの生年月日も、住所も。

結局、本人確認できないとダメって、機種だけ購入しただけなんだけどさ。

携帯電話、今まで必要ないな~って思ってたけど、プーちゃんと連絡取り合いたいから、買っちゃった」


わたしは……


元彼と、連絡を取り合いたい、か?


よく わからない。


「休みの時にでも、携帯ショップへ行って手続きしてきてよ」


「うん、わかった」


元彼が送ってきた携帯電話を受け取るということは、どういうことなのか。

わたしと、連絡を取り合いたいから買ったと。


先週、上野駅で別れ際、もう1度つきあいたいと彼は言ったけど、わたしはそれに対して何の返事も返さずに帰ってきた。


6年前、わたしと別れたことを後悔してたと言っていた。


後悔……

そして、離れていた期間があったからこそ、今度は、わたしのことを本当に大事にしてくれるかもしれないな。


もう1度……なんて、考えてなかったけど、大島くんと、よりを戻してみようか。






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