別れの理由
この元彼とは、高校時代につきあっていて、彼が県外の大学に進学したことで遠距離になり、別れた。
もう6年前のことだけど、割りとハッキリと覚えている。
彼は、3月末に引っ越しした。
引っ越し先は、アパートと聞いていたけど、最初想像していたアパートとは違うな、と思った。
なんてゆうのか、寮みたいな感じ。
管理人が夜の9時くらいまでは居て、電話を取り次いでくれると言う。
(当時は、携帯電話もなかった時代)
9時過ぎの電話は、近くの部屋の人が取ってくれる場合もあるし、出ない場合もあると。
そこへ遊びに行くとか、泊まるとかはダメな感じ。
4月、5月は手紙のやり取りをしていた。
ゴールデンウィークに帰るつもりでいたけど、ちょっと忙しくて帰れそうもない と。
わたしは、実家暮らしで家から通っていたけど、それでも入学してからはバタバタしていたから、わたしの方も忙しくて電話をすることはなかった。
6月にきた手紙には、ここを出て、普通のアパートに引っ越そうと思ってる、と書いてあった。
ここは、いろいろと不便だし、普通のアパートだったら、プーちゃん(わたしのこと)も、遊びに来れるじゃん! て。
わたしは、手紙に、嬉しいけど、引っ越したばかりなのに、また引っ越しするの大変でしょ?
もう少し落ち着いてからでもよくない?
と書いた。
その返信がくるのを待っていたけど10日経ってもこないから、また手紙を出した。
引っ越し先決まったら、住所とか教えてね。
いつ引っ越しするのかな?夏休み中とか?
早く会いたいな。
また、10日くらい待ったけど、手紙も電話もなかった。
きっと、忙しいんだろうな。
わたし自身も、5月からパン屋さんでアルバイトを始めて、なんだか忙しかったから、彼も忙しいんだろうと思った。
7月になり、それにしたって、なんの連絡もないんですけど~って思って、寮みたいなところに初めて電話してみることにした。
9時前にかけた方がいいんだよね?
管理人さんに取り次いでもらった方が、いいんだよね?きっと。
だいぶ緊張して、受話器を握りしめていた。
「はい、◯◯荘です」
管理人らしきオジサンが電話に出た。
「わたくし、◯◯と言いますが、大島君をお願いします」
わたしがそう言うと、はい、待っててねと言って、保留音にもならずそのまま置かれている感じで、
大島君!大島君いないかな~?……あ、◯◯さんて女の子から電話きてるよ!
って、声が丸聞こえ状態。
はい、すみません。
彼の声も聞こえた。
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