待ち合わせ
当時はまだ長野まで新幹線は繋がっていなかったから、特急あさま号で上野まで行った。
元彼は、品川区に住んでいて、車で上野駅まで迎えにきてくれると言ってくれた。
特急電車の到着時間を伝えて、上野駅の改札を出たところで待ち合わせをした。
高校を卒業して以来、6年ぶりの再会で、お互いにわかるだろうか?と、少し不安でもあった。
が、そんな心配をする必要はまったくなかったな、と笑ってしまうくらいすんなり見つけられた。
改札のすぐ横で、あり一匹見逃さないぞ!ってくらいの感じで立っていた。
当時は、吉田栄作とか、加勢大周とかが人気だった頃で、元彼は白いポロシャツに、ジーンズだった。
その姿が、様になっていた。
「ひさしぶり~」
と、手を振って駆け寄ったわたしを見て、元彼も
「ほんと、ひさしぶり。変わってないな」
と、笑った。
車を停めてある駐車場まで歩いた。
「なんの車に乗ってるの?」
あまり、車には詳しくないけど、なんとなく聞いてみた。
「ポンティアックのグランダム」
ポンティアックのグランダムって?
トヨタ、日産、ホンダ、三菱、スズキ、ダイハツ、いすゞ?
以外に、なに?
ポンティアックってのが、メーカー名で、グランダムってのが、車の名前なの?
「全然わかんないや」
「アメ車だよ」
「アメ車って、外車ってこと?」
「あぁ、そう」
友だちのお父さんの車がBMWで、後ろの席に乗せてもらったことが何度かあったけど、外車の助手席に座るのは初めてだ。
これだよ、って言われて見たら、車高が低くて、なんか、尖っていて、デカい車だった。
「これ、左ハンドルだから、そっちから乗って」
重いドア、赤いレザーシート。
なんか、わ~~って思った。
わ~~って、言うのは、……なんてゆうか……
引いたって感じ。
6年前に別れて、学生服で自転車にまたがってる姿しか知らなかったから、この6年ぶりの再会は、変らないようにも、変わってしまったようにも思えて、不思議な感じだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます