第6話二度あることは三度ある

最近は、幼なじみのマサキと美香は行動を共にすることが多く、周りは2人が付き合っていると勘違いしていたが、本人達は、そんな意識なんて全くなかった。

美香からの暴力やミスで日に日に、マサキはせ痩せていった。

責任を感じた美香は、前日にマサキにお弁当は私が作ってあげると言って、翌日昼休み学校の屋上のベンチで2人は弁当を広げた。

「うわっ〜、うまそう。美香、アリガトな。これから毎日作ってくれるんだって?」

「うん。最近はマサキが痩せてきたら心配で」

「このお弁当、朝、作ったの?」

「5時起きで作ったわよ」

「いっただっき……あれ、お前は?」

「私はいらないの。最近、お通じの出が悪くて。あっ、ごめん。食事する前に」

「全然、気にしないよ」

「私はカロリーメイトで十分だから」


マサキは一口、卵焼きを食べた。

「うんめぇ〜」

美香はこれこそが、免罪符なのだ。

「良かった」

「この、酸っぱさはサルサソース?」

「……?酸っぱさ?入れてないよ!」

「この唐揚げ、酸っぱいタルタルソースで旨い!」

「タルタルソースに酢は入れてないよ。きっと、マヨネーズね」


この季節は9月だった。美香はちょっと心配になった。まだ、残暑のきつい時期に、朝5時に作った弁当が傷んだのでは無いかと。

マサキはアッという間に食べ終わった。

「ご馳走様。美香、自販機行こうか。ジュース奢ってやる」

「ありがとう」


2人はジュースを飲みながら、下らないマンガの話しをした。

「昨日のマガジンの『トリスおじさんと、たくや君』読んだ?」

「読んだ読んだ。結局、トリスオジサンが馬鹿なんだよね」

「そうだよ。美香、あのマンガ実写化出来ないよな」

「うん。無理だと思う」


グルグル。ゴロゴロ。グジュルグジュル。


「美香、お、お腹痛い!トイレ行ってくる」

「……うん」


マサキは朝より、ゲッソリとして帰って来た。

「あの、べ、弁当。腐ってたんじゃ……」

「ば、バカね。朝作ったのよ。お弁当が原因じゃないわよ!」

「そ、そうか。気のせいか。ウゥッ!」


ブリッ!


「あ、あわわわわっ」

「うわっ、臭ッ」

「ちょっと漏れた。帰る」

「病院行ってね」

「……」


マサキは半泣き状態で、バイクにまたがり早退した。

美香は責任を感じた。だが、翌日元気なマサキの顔を見て安心したのだが、弁当を作るのは辞めた。

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