第5話田畑の便秘

田畑美香は便秘に悩んでいた。それも、酷い便秘。休みの前の晩に下剤を飲んで、土曜日の朝、排泄出来れば良いのだが最近は今の下剤に身体が慣れてしまい、病院で強い下剤を処方してもらった。

放課後、美香とマサキは仲良く教室で喋っていた。

「乙女は悩みで形成されているようなもの。美香、このパパに悩み事を言ってごらん」

「喉、渇いた。ジュース。コーヒー」

マサキは外人のするようなジェスチャーで、「オーノー、パパをパシリにするとは」 

「じゃ、ジャンケンで負けた方が奢るの。いい?」

「僕は、ジャンケン8段なんだ。素人には負けないよ!」

2人はジャンケンを始めた。


ジャンケン、ポンッ!


美香はパーを出し、マサキはグーだった。

「何が、8段よ!砂糖とミルク入のアイスコーヒーね」

「……わ、分かった」 

マサキは自販機でアイスコーヒーを2杯買ってきた。

コーヒーカップを机に置く。

「おっと、執行猶予」

と、マサキはトイレに行った。美香は、夜には排泄したいので、アイスコーヒーに下剤をたっぷり入れた。


マサキが戻ってくると同時に、生徒指導の広瀬先生が教室に入ってきた。

「お前ら、何してんだ?部活もそろそろ終わる頃だ。田畑、お前は仮にも女性だ。こんな男と、いつまでも喋ってないで家帰れっ!」

「……」

「ひ、広瀬先生、お言葉ですが、僕はなんの下心もありません。こんな、か弱い女の子を1人で帰す訳にはいけません。バス停まで見送ります」

「お前こそが、不審者なんだよっ!」

「な、何ですって!聞き捨てならないですよ先生。親にこの、侮辱発言を伝えておきますよ!」

「勝手にしろっ!」

と、広瀬先生は教室を後にした。

ハァハァ言いながら、マサキはアイスコーヒーをガブ飲みした。

「アッ」

美香は叫んだ。

「どうした?美香。オレが悪いのか?」

「そ、そうじゃないけど」

「なら、変な声出すなよ!早く飲め!帰るぞ、広瀬がうるせぇから」

「わ、分かった」


美香にも十分な威力を発揮する下剤入りのコーヒーを飲んだ、マサキは平気だった。

『なんだ、マサキも便秘なのね。きっと。良かった』

2人は、30分に1本のバスを待った。


グルグル〜。キュ〜ゴロゴロ。


「あわわわわ、ちょ、ちょっとトイレ」

マサキはトイレに駆け込んだ。

しばらくすると、マサキはやつれた姿でトイレから出てきた。

「お、オレ、何か変なもん食ったかなぁ〜?」

「……きっと、ストレスよっ!」

「そ、そうだな。現代はストレス社会。……ま、またトイレッ!」

しばらく、マサキはトイレが出て来なかった。

バスは出発してしまった。次のバスまで、さらに30分。

美香はマサキが下剤を飲んだ事を内緒にした。


コンコン

「はいっ、ど、どなたぁ〜?」

「わ、私だけど」

「ちょっと、殆ど水状態なんだ。オレ、病院行くから先に帰っていてくれ」

美香は病院に行けば、下剤がバレると思い、

「一緒に帰ろうよ!マサキが心配だから」


ブリブリッ!グチュッ!ドボドボドボッ゙!


「う、うん。分かった。今ので全部だ。もう、出るもんないよ!お前さぁ、下剤とか入れた?」

「んな、訳無いじゃない。気のせいよ」


この後、1時間、バス停とトイレを往復した2人だった。

帰ったのは、19時30分のバスであった。

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