第2話美香とこずえ

美香と河原こずえは仲が良い。マサキは3人で歩いていた。

ちょうど、庄内川の土手道に差し掛かっていた。

マサキは2人の女子の後ろを歩いていた。

「やっぱ、うちのクラスの瀬川君が一番イケメンだね」

「うん、この前太い棒を演舞のとき自由自在に振り回し、まるで孫悟空みたいだったよね」

「そうそう」

「和田君も捨て難いよね。この前体操服に着替えてているとき、見えたんだけど腹筋割れてたよ」

「すご〜い。何か、ムズムズしちゃう」

マサキは2人の後で、もじもじしながら歩いている。


「おいっ、我が愛でる娘たちよ!」 

いきなり、マサキは美香とこずえを呼び止めた。

マサキは上半身裸だった。

腹は、マジックで6等分に線が引かれ、筋肉質であることををアピールしていた。

手には、半分に折れた物干し竿。

マサキは、テレビの孫悟空の様にビュンビュン振り回していた。


「どうだ?娘たちよ!これなら、瀬川や和田よりカッコいいだろ?」


ビュンビュン、ドゴッ!


マサキは振り回した、鉄の棒が後頭部を直撃し、倒れた。

血が出ている。


「あら、大変。このバカ自爆しちゃったよ、美香」

「血も出てるから、救急車呼ぼうか?」

「うん、そうする」 

美香はスマホで電話した、

「こずえ!電話出ない」

「えっ、何で?」

「時間しか、言わないの。忙しいのかなぁ?」

「美香、私が掛ける」

「どう?」

「全然ダメ。明日の天気予報しかいわないよ!きっと忙しいのよ」


うぅ〜。

マサキが意識を取り戻した。

「いってぇ」

「マサキ!大丈夫?血が出でるけど」

美香が心配すると、

「瀬川、和田よりカッコいい?」

「ぜんぜん」

「チッ!このブスコンビがっ!」

マサキはそのまま病院へ行き、5針縫った。

美香とこずえは、マサキのバカさ加減を笑っていた。

その後、2人は119が救急車か火事の時の番号だと知った。

ご多分に漏れず、この2人もバカなのであった。

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