いつも彼女は、間違っている

羽弦トリス

第1話ある日の朝

ここは、愛知県にある私立三田村高校。

柴田マサキは教室に入ると、朝補習の準備をしていた。

間もなくして、女の子にしては高い165センチの身長で、髪は背中にちょっとかかる位の長さの女子がマサキの机の横に座った。

田畑美香である。マサキの幼なじみ。



ブッ!


えっ?

 

ま、まさか美香がこいた?


ブッ!


な、何と2度も。マサキはたまらなくなり、

「美香、ガス出すなら外で」

「な、何のことぉ〜?」

「屁だよ屁」


ブッ!


面白い事に、美香はギャグ漫画を読み、笑っていたのだ。笑いを堪えようと、口を閉じていたが、我慢出来ずに吹き出した息が、屁の様な音を奏でていたのだ。


「マサキもさ、貸してやるから読みなよ!羽弦トリスの『パブロフの犬は、喫茶店にいる』はいっ」


マサキはしばらくページを捲った。


ブリッ!


「アハハハ。マサキも面白くて今吹いただしょ?」

マサキは神妙な面持ちで、

「今のは屁だよ!」


クンクン

「くっせぇ〜、マサキ。屁するなら外に出てよね。乙女の前で、しかも、堂々と!」


ざわめいていた教室が静かになった。

チャイムと同時に、英語教師の鬼の広瀬先生が現れたのだ。

「続きは放課後貸してあげるね」

「分かった」 


これが、美香とマサキの日常であった。

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