第15話 言うに言えない真実
ジュリアとシバはノルウェアに戻り
ジュリアの屋敷に着きました。
ここに来る間、シバとジュリアは
お互いの村、街について話し合いながら
ノルウェアに向かいました。
ジュリアの父は銀行の頭取。
無論 屋敷も立派です。
シバ
「すごい、大きな屋敷だ」
シバは屋敷を見上げて言いました。
ジュリア
「本当にお世話になりました」
シバ
「いいえ 。助かってよかった。
ただくれぐれも ベルのことは
秘密にしてください」
ジュリア
「はい。
もし、レムロについて何か分かったら
こちらから知らせますわ 」
シバ
「ありがたい。 ただレムロはあなたが
ベルで復活したことや、
村について知っている人間でもあるので
くれぐれもお気をつけて」
ジュリア
「また ヒルマ村から工芸品を
納めに来た時、遊びに来てください。
村の工芸品も是非、買わせてもらいます」
シバ
「ありがとう。 そうさせてもらうよ」
そう言うと ジュリアとシバは
屋敷の前で別れました。
ジュリアを屋敷に入り、
父、ウィルに会いに行きました。
ジュリア
「お父様」
ウィル
「おぉ!ジュリア!帰ってきたか」
ジュリア
「お父様、病気、良くなりました」
ウィル
「ほ、本当か?」
ウィルはジュリアに駆け寄り長袖を捲くる。
その腕には今まであった発疹は
全くありません。
ウィル
「本当だ。 よかった。
本当に治ったんだな」
ウィルは感動して嬉し涙を流しています。
無理もありません。
治るはずがないと言われていた
病が治ったのですから。
しばらくウィルは言葉もなく
ただジュリアを抱きしめました。
ウィル
「しかし どのような治療だったんだ?
不治の病を治す方法というのは」
ジュリア
「それが、実は私もよくわからなくて」
ウィル
「分からない?どういうことだ?
それに一緒に行った
レムロはどうしたのだ」
そこへなんと レムロが現れます。
レムロ
「なんだお嬢さん。
先に戻っていたんですか」
ウィル
「おぉレムロよ。よく戻ってきたな」
ジュリア
「・・・・・」
ジュリアはレムロのことを警戒しています。
レムロ
「勝手に どっかに行ってしまったので
探しましたよ」
ウィル
「レムロ、ご苦労だった。
よく娘の病を治してくれた」
レムロ
「いえ、とんでもございません」
ジュリア
「ちょっと待ってください、お父様。
この方は何もしていないわ」
ウィル
「何だと?どういうことだ?」
ジュリア
「確かに この方と途中まで一緒でしたが
私が疲れて道端に眠った後は
はぐれていました。
その後、目が覚めたら自然と病気が
良くなっていたのです。
この方は何もしていません」
レムロ
「おや?私がちゃんと
連れて行ったじゃないですか。
あなたの病気が治る場所へ」
ジュリアは少し脅されている
気持ちになりました。
ウィル
「レムロ、もう少し詳しく話せ」
レムロ
「私は様々な病気が治る
とある場所を知っています。
そこは私しか知りません。
そこに病人を連れて行くと
たちどころに病気が治る場所なのです」
ウィル
「そんな場所があるのか」
レムロ
「はい。 ただそこは非常に神聖な場所で
あまり多くの人が立ち入ると
汚れてしまい病気を治す効果が
なくなります。
なので本当はもっと多くの人に
使ってもらいたいのですか
効果がなくなってしまっては
元も子もありません」
レムロの話は
"当たらずとも言えども遠からず"で
ジュリア もどう言い返そうか困った。
ウィル
「その場所とは、どこなんだ」
レムロ
「それはお教えできません。
先ほども言ったように神聖な場所で
沢山の人が知ると皆そこに
行きたがります。
そうなってば病気が治る効果が
なくなってしまうのです」
ウィル
「そうか・・・」
レムロの言い方にジュリアは
黙るしかありませんでした。
反論したい気持ちはありましたが
レムロの話は話で村でのことを
誰にも知られないという内容でもあり
ジュリアは反論できませんでした。
レムロ
「もし、お嬢さんの病が治ったことを
聞いた人たちがここに押し寄せ
不治の病の治し方を聞いてきたら
その人たちにはレムロに聞いてくれと
おっしゃってください。
病気が治る場所があることも
言わないでください」
ウィル
「そうかレムロよわかった。
ジュリアよ。
お前の意見はあるかもしれんが
このレムロがいなかったら、お前は
こうして病気が治ることもなかった。
では 、レムロに報酬を渡そう」
ジュリアは複雑でした。
本当のことを言いたかった。
しかし村人との約束がある。
それに今 、本当のことを言って
父が信じてくれるのか。
レムロは今のところ父の中では
私を救った人という位置づけ。
村での話を全てに伝えたところで、
レムロをどうにかできるものなのか?
それに確かに、今、私の病気を治した
きっかけはレムロだった。
それがジュリアを悩ませました。
人の弱みにつけ込んで
自分の有利な方向へ持っていく事は勿論、
反撃されない様に事を運ぶことが
レムロは上手かったのでした。
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