第62話 文字というのはいろいろな歴史が有って成り立っているものだったりする
さて、俺は最近家の中での暇つぶしにアイシャに簡単なひらがなを教えていたりする。
「じゃあこれは?」
俺は家の床に木の枝で犬っぽい絵を書いてアイシャに見せている。
「わんちゃー」
「おう、偉いぞよくわかったな」
「あいしゃえらーい」
俺はバンザイしながら喜ぶ娘の頭をグシグシなでながら続ける。
「じゃあ犬ってどう書くんだっけ?」
「えーと、んーと」
アイシャはなかなか思い出せないようだ。
やっぱりまだ小さいもんな。
「じゃあ、もう一度俺が書こうか?」
俺がそういうとアイシャが泣きそうになりながら言う。
「めー、あいしゃがかくー」
「そうか、じゃあゆっくり思い出そうか」
「そうなのー」
文字というのはかなり歴史的には新しく西洋で一番古い文字だと考えられているのはシュメール語の”シュメール文字”だと思われてる。
ただこの文字はその後のメソポミヤで使われているアッカド語やエラム語とは体系的に全く似ていない謎の言語とされているが実際はよくわからんのだけどな。
シュメールの文明は唐突に神のような高等技術を持った存在に文明文化を与えられて、周辺の土地の人間よりも数段上の技術を持っていたように勘違いされるが、エリコなどの先土器新石器持代のナトゥフ文化の後に土器新石器時代のアムーク文化とハッスーナ文化が現れ、灌漑農業が行われるハラフ文化とサマッラ文化の後の6千年くらい前のウバイド文化があって、本来ならこのウバイド文化にて彩文土器とか文字の元になる原文字の概念とかが生まれてくるんだな、この頃のメソポタミアは都市ごとに違った王が土地を治めていたので都市間の交易などに統一された文字のような記録が必要とされたらしい。
そしてウバイド文化の後の6000年前頃にはシュメール人の文化ができたらしい。
まあおおよそのところは何だけど。
もちろん文字というのは唐突に現れたものではなく原文字と呼ばれる記号もしくは符丁のようなものはウバイド文化のときにはすでにあり、絵を文字として扱う方法はすでに存在していたりもする。
もっと古い時代には洞窟の壁画も書かれていて、危険な獣などの外見がわかるようにされていたようだ。
西洋では原文字の中でももっとも古いものは古ヨーロッパ文字もしくはヴィンチャ文字と呼ばれているものは9000年ほど前から存在していると考えられているようだし、東洋における長江文明でも同じくらいの時代から原文字的な記号は存在しているらしい。
俺がそんなことを考えていたらアイシャがバンザイした。
「できたー」
しかし書かれているのは”いえ”と言う文字だった。
「んー、惜しいけど全然違う」
アイシャは首を傾げている。
「ちがうー?」
「もうちょっと考えるか?」
愛車は首を傾げて言う。
「んーわかんなー」
俺はアイシャに頷いていった。
「じゃあ俺が書くな」
アイシャが頷いた。
「あい」
俺は床に”いぬ”と書いた。
「惜しかったな」
「おしーい!」
アイシャが手足をバタバタさせて悔しがってるが結構すごいと思うぞ。
「あらあら、どうしたの?」
そこにリーリスが水が入ったコップを持ってきてくれた。
「ん、ありがとうな。
なに、ちょっとした暇つぶしだ」
アイシャもコップを受け取ってコクコク水を飲んでる。
そしておもむろに何か書き始めた。
”あいあと”
「できたー」
「おお、すごいな」
リーリスは意味がわからないようだ。
「これはな、ありがとうって言う意味を書いたんだ」
リーリスは驚いている。
「そんなことをしていたの?」
「かーしゃ、あいあとー」
ニヘラと笑ってリーリスに笑いかけるアイシャは世界一かわいい。
そしてきっとアイシャは世界一頭がいい。
うん、親ばかと言われそうだが俺はそう思ってる。
「へえ、面白いわね。
私にも教えてもらえないかしら?」
「ああいいぞ、暇つぶしにはもってこいだからな」
まあ教えてるのはひらがなと身の回りにあるものやいるものを簡単に説明してるだけだけどな。
象形文字を崩した漢字を更に崩したかな文字の成り立ちを考えるとちょっとわかりにくいのはしょうがないと思うんだが、それをちゃんと覚えるのはすごいと思うぜ。
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