第39話 お前らが言いたいことは大体わかる。
「おう、久しぶり?」
一旦冷静になれ俺、ここで取り乱しても意味はない。
勇者パーティーと出会っってしまった今、俺にできることはこの状況をいかに穏便に乗り切れるか、それを考えて実行することだけだ。
「あんたねぇ!ずっと探してたんだから!」
「アレス君、皆心配してたんだぞ。」
「アレスさん、ようやく会えました...。」
一見、俺の事を大切に思っているかのような発言だが...
組織で鍛えた観察眼、それを持つ俺には通用しないぜ。
考えられるのは俺が今まで使った金の返金、もしくは正式な解雇宣言と言ったところか。うん、何の問題もないな。
「お前らが言いたいことは大体わかる。それで問題ない。」
「問題しかないでしょ!そもそもなんで何も言わずに急にいなくなるのよ!」
「最近の君は明らかに私達と距離をとっている。」
「アレスさん、あなたには確認したいことがあります。」
なるほどやはりそういうことか、考えていた通りだったな。
俺は懐から財布を出す。そうだなあ...まあ俺からすればお互い悪いってことでここは100万ゼピスでいいか。
「これでいいか?」
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【アリサ視点】
今までずっと探していたアレスを今日見つけた。
こいつには確認したいことがたくさんあるのよね。
でも今は会えたことが素直にうれしい...
この気持ち....まさかとは思っていたけど...
「お前らが言いたいことは大体わかる。それで問題ない。」
あいつったら私たちの気も知らないで...!
どんな想いで私たちが必死に探したと思ってるのよ!
「問題しかないでしょ!そもそもなんで何も言わずに急にいなくなるのよ!」
本当に、どんな想いで...
「これでいいか?」
アレスは財布らしきものからお金を取り出す。
まさか...手切れ金てこと?嫌よそんなの!
まだあんたとやりたいことがたくさんあるのに!
それにこの気持ちを無かったことになんてできないわ!
そしてあたしが発した言葉は...
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【セリス視点】
アレス君が姿を消し探すこと数日、ようやく今日見つけることができた。
正直アレス君を勇者パーティーへ誘ったことに打算がないと言えば噓になる。
しかし今は本当の仲間として彼を大切に思っている。
それにこの感情...よくわからないがこれも一種の信頼の証なのだろう。
「お前らが言いたいことは大体わかる。それで問題ない。」
彼が放つ言葉は悲しくも距離を感じるものだった。
「最近の君は明らかに私達と距離をとっている。」
最近の彼の対応は明らかにおかしい。
彼は私達を真の仲間だと思っていないのか?
「これでいいか?」
彼はそう言うと財布を取り出す。
恐らく手切れ金と言ったところだろう。
これまでの関係がここで崩れてしまうと考えると胸が痛い。
そして私が放った言葉は...
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【ヘレナ視点】
何も言わずに姿を消し、その幻影を追っていたわたくし。
幻影だと思っていたそれにようやくたどり着けた、いや会えたのだ。
しかしわたくしの気持ちは晴れない。
再開した時から止まらないこの胸の高鳴りを抑えなくては...
「お前らが言いたいことは大体わかる。それで問題ない。」
この気持ちが一方通行なのはわかっていた。
しかし...それでも...
「アレスさん、あなたには確認したいことがあります。」
わたくしはアレスさんにどうしても確認しなければならなかった。
この関係は崩れてしまう前に。
「これでいいか?」
しかし彼のとった行動は無情にも財布から手切れ金らしきものを出すという仕草だった。
このままではいけない...
そしてわたくしが出した言葉は....
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「ダメよ!」
「ダメだ!」
「ダメです!」
皆がそう叫ぶ。ケチったのが気に食わなかったか。まあ仕方ない。しかしこちらにも言い分はある。ここではダメだ。
「すまない、お前たちの気持ちを考えていなかったな。場所を変えてそこでしっかり(返すお金の額)について話し合おう。」
俺はレイとクララに視線を送る。
「アレスが言うなら仕方ない、行く。」
「まあアレス様がそう言うなら...」
二人は不服そうにしながらも頷く。
そうと決まれば場所は...【紅】のアジトだな、うん。
なんかあればボスが仲裁してくれそうだし。
「ついてきてくれ。」
そう言うと俺は歩き出した。
勇者パーティーの荷物持ちの俺、実は裏社会最強だったらしい~尚、パーティーメンバーと距離を置きたいのになぜか奴らは俺に絡んでくる~ @poyupin
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