第37話 せっかくだからピッキングしてみたいじゃん
俺達はファニュレル聖堂の中にいた。
「確かこの辺にがあるはずだが....。」
「アレス様、あれじゃないですか?」
クララが指さした先の床には3つ程の南京錠が施されている扉があった。
「間違いない、あれだな。」
俺は開錠魔法を使い、南京錠を外す....
つもりだったが、針金で一つ一つ外していく。
「アレス、開錠魔法の方が速い。」
「それはそうなんだが...。」
南京錠が3つもあるんだよ?
せっかくだからピッキングしてみたいじゃん。
「まさか...『心眼』。」
クララのやつ何してるんだ?
「これは.....、開錠魔法を使うと爆発する仕掛けのようです。」
え?マジ?
危ねえ、俺のエゴがこんなところで役立つとはな。
「アレス、それを知っていて?」
「ああ、まあな。」
ここは嘘ついておいた方が無難だ。
なんか俺分かってました感出しといた方がかっこいいしな。
「流石です、アレス様。」
「よし、入るぞ。」
3つの南京錠を解除し、俺達は聖堂の地下へと続く階段を下る。
「じめじめしていて気持ち悪いです...。」
「....何か聞こえる。」
レイに言われ、足を止めながら耳を傾けると、階段を下りた先のやや大き目な扉の奥から声が聞こえる。
『経過はどうだ?』
『血の収集は順調です。しかし1つ問題が。』
『何だ?』
『探している賢者の血を引くものですが...全く見つからず、情報も特にないのです。』
『....そうか。だが賢者の血を引くものの邪魔が入らないという見方もできる。』
『では計画はこのまま....。』
若い奴の血を集めているというのは本当だったらしい。
こいつらの計画を止めなければ。
「いくぞ、レイ、クララ。」
俺達は階段を降り、扉の前に着き、勢いよく扉を開ける。
バン!
「誰だ!?」
全部で9人と言ったところか。
余裕だな。
「悪いがお前達の計画はここまでだ。」
「情報が漏れていたのか....そしてその顔、貴様【紅】のアレスだな?」
「話が速いな。俺達がなぜここに来たかも分かるな?」
「忌々しい....しかしここで貴様を消せるのは好都合だ。ここで死んでもらおう。」
周りにいる者たちが獲物を構える。
なるほど、素人ではない。
だが....
「アレス様、私が。」
「ぐぉ!」
「うぁ!」
「くっ!」
クララはその人を超越した速度で相手を瞬殺していく。
しかし拳で貫くなんて…
ゲロいな、うん。
残るは一人だけだが....
コイツ、まだ余裕がある。
「流石だな。だがこうなることは想定済み、私...ソシリス自ら手を下すとしよう。」
そういうと、ソシリスは珠のようなものを取り出す。
「この宝珠は邪神の力の一端を授けるという物。かつて賢者によって封印された邪神は、この宝珠にその力の一部を残した。流石に【紅】のアレスといえ、邪神の力を前にしては何もできまい。さあ、私に力を与えるのだ!」
宝珠は禍々しい光と共に、ソシリスの身体と同化する。
するとソシリスはとても人間とは言えないものへと変化した。
「殺してやる....殺してやるぞ!」
邪悪なオーラがソシリスを包む。
「....レイ、クララ、あれどう思う?」
「私以上の魔力、とても危険。」
「あれは人が手にしていい力ではありません。」
うーむ、なるほど。
じゃあ倒しといたほうがいいか。
俺はブーヴィーを構える。
すると....
「その剣....なるほど貴様がそうか。ハハ、ハーッハッハ!ここでその血もろとも消し去ってくれる!」
何言ってるんだこいつ?
ブーヴィーを見て何か悟ったらしいが...
そう考えていると、
ヴォーン!
すさまじい覇気がソシリスから放たれる。
「....無理。」
「これ程とは....。」
レイとクララはそれによって後ろへと下がっていく。
ここは俺が何とかするしかないな。
『神速』
俺は速度を上げて切りかかる。
ガイイン!
「馬鹿め、この身体に物理攻撃は効かぬ!」
なるほど確かに頑丈だ。
ここは魔法で...いやしかし周りを巻き込むか....。
何か手は.....そういえば....たしか昔親父がこう言ってたな。
『いいかアレス、時に物理が効かない相手というのも存在する。だがな、お前に授けるこのブーヴィーは特殊な刀でな。ある強力なスキルが付与されている。それがあれば物理の無効をも破る斬撃ができる。そしてその発動方法は....。』
親父、せっかくだから使わせてもらうぜ。
『ラジアントジャッジ』
俺がそう口にすると、ブーヴィーは神々しい光を放つ。
「っつ!この光は!?ええい、やはり貴様がぁ....!『ダークネス...』」
「遅いんだよ。」
スパァンとソシリスの肉体をブーヴィーは両断する。
「ば、バカな....これが賢者の....。」
ソシリスは何か言いながら倒れこむ。
まさかこの歳で死んじまった親父に救われるとはな。
「ふぃー、とりあえずこれで終わりか。」
「流石アレス、すごい。」
「あの光は....まさかアレス様は....。」
クララのやつ何一人でブツブツ言ってるんだ?
「組織に戻って報告するぞ。」
「ま、待ってくださ~い!」
こうして俺達は邪神復活を止めることに成功した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なんだアリサ、まだ起きていたのか。」
「ちょっとね。今頃アレスは何してるんだろうって。」
「案外私たちの事を気にかけてくれていたりしてな。」
「流石にそれはないわよ(笑)」
「そうだな(笑)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アレス『あいつら今頃どうしてるかなぁ。』
クララ『アレス様が賢者の....。』
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