第25話 お前ら一体何があったんだ?話ピポパ?
「ねえ、アレス、ちょっといい?」
「すまない、ダメだ。」
「なんでよ!少しぐらいいいじゃない!」
お前達の魂胆を知った今、俺がとる行動はただ一つ。
距離を置くことだ。
「アレスさん、グゥルィーンティーのことで相談が。」
「ああ、それならパッとやってポッとやってピだ。」
「あらあら.....。」
すまないなヘレナ、だが先に仕掛けてきたのはお前達だ。
「おっ、アレス君、見てくれ、ついにテドィーちゃんが直ったんだ。」
「そうか、それは良かった。じゃあ俺はこれで。」
「ちょっ、アレス君?」
セリス、自分のしたことを胸に手を当ててよく考えるんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・
【勇者パーティー乙女の会】
「アレスさん、何があったんでしょうか?」
「最近やたらとあたしに対する態度が冷たいのよね。ちょっときつく当たりすぎたのかしら。」
「私もだ。何か気に障るようなことでもしたのだろうか?」
「しかし、本人に聞く以外手段がありません。」
「誰が聞くのよ。」
「それは......。」
『私が。』
と言いたいところではあるが、原因が私だった時が怖い.....。
『あたしね。』
と言いたいけれど、あたしのせいだったらどうしよう.....。
『わたくしが。』
と言いたいところですが、正直怖くて聞けません....。
『.........。』
「参りましたね...。」
「どうしたものか.....。」
「あいつって奴は....。」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやはやしかしあんなことを考えていたとは.....。」
勇者系の書物で過去に追い出されたパターンがあったことを書物で知った俺は、いよいよガードを固めて、なるだけ時間稼ぎをして、最悪追い出されても『気にするような仲じゃない』程度にはしたかった。
「ふむ、これからどうしたものか.....。」
これからもギルドでの依頼を受けなくてはいけないし、手の内を見せないのは流石にキツい....
いや待てよ?
手の内隠して戦えばよくね?
俺元々荷物持ちだし?
戦わなくて怒られることはないでしょ。
少々クズかもしれない考えだが、これも社会を生きていくうえで必要なことだ。
さてと、とりあえず部屋に戻り作戦を.....
「アレス君!」
「アレス!」
「アレスさん!」
何だこいつら?
ドゥアンゴウのようにまとまって。
「何か用か?」
「いやその、最近あまりしゃべってくれないのでな。何か癇に障ることでもしたかと思ってな。」
「あたしが冷たく当たりすぎたせいよね....ごめんなさい。」
「わたくしも配慮が足りませんでした。申し訳ありません。」
なんか勘違いしてんなあ。
別に怒ってはないんだよなあ。
「いや、特段気分を害しているわけではない。気にしなくていい。んじゃ、アデュー。」
俺は部屋に向かった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【勇者パーティー乙女の会】
「絶対になんかあったわよあれ。」
「そうだな、温厚なアレス君が今やあれだものな。」
「うーん、困りましたねえ。」
「せっかく全員で覚悟決めて聞いたのに情報ゼロだし.....。」
「何か悩んでいるとか?」
「わかりませんね....。」
「ええい、仕方ない!あれを使うわよ!」
『あれ?』
「精神干渉魔法の一つ、『相手の本心を探る魔法』よ。」
「流石にそれはまずいんじゃないか?さらに怒らせてしまう可能性もある気がするが.....。」
「あまりいい手とは思えませんが....。」
「じゃあ、このままでいいわけ?」
『それは....。』
「決定ね。早速行くわよ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコン
「アレス、入るわよ。」
勇者パーティーのやつら3人の気配。
何の用だ?
「何か用か?」
「今よ!『エクスプロアーシンサリティー』!」
...............。
「生憎俺に精神干渉魔法は効かん。」
「嘘?くっ、本当に何も見えない.....。」
「何を企んでいるか知らないが無駄なことはよせ。」
「あんたこそ、何で私たちに何も言わないのよ!それに最近やたら距離をとってるし.....。なんでよ......。」
「それはお前たちが一番知っているんじゃないのか?」
「!?」
「さあさあ、用事が済んだなら出ていけ。」
あいつら何がしたかったんだ?
まあいいや、俺にはやることがある。
それは....
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【勇者パーティー乙女の会】
「ダメでしたね。」
「......、精神干渉魔法が効かない人なんて今までいなかったのに.....。」
「いよいよどうしたものか.....。」
「ここはわたくしにお任せを。」
「何かあるのか?」
「いやな予感しかしないけど.....。」
「これを使います!」
『好きな男性に効く会話術』
「これは.....。」
「ヘレナあんた.....。」
「勘違いしないでほしいのですが、わたくしはちゃんとアレスさんが好きです。」
「そういうことじゃないわよ!それに好きなのは知ってたし....。」
「まあ、物は試しだ。やってみる価値はある。問題は誰が....。」
「あたしね!」
「わたくしです!」
「まあ、こうなるよな.....。というかアリサお前まさか.....。」
「なっ、別に好きじゃないからね!?ただ今回のために仕方なくやるだけであって....。」
「あらあら、素直じゃないですね。まあ、ここは言い出した私に任せてください。」
『大丈夫か(なのかしら)?』
・・・・・・・・・・・・・・・・
コンコン
何だ、今度はヘレナか。
一体何の用だ?
「空いてるぞー。」
「失礼します。」
「どうした?」
「アレスさん、今夜は月がきれいですね。」
「月?そんなもん出てないが.....。」
「わたくしもこんなきれいな月が出ている日に好きな殿方と一緒にあれやこれやしたいものです。」
「そうか。」
なんか語りだしたぞ。
こいつ精神大丈夫か?
「ところでなにか悩み事がおありで?」
唐突すぎんか?
「今ある悩みはお前のことだな。明らかにおかしい。まるで恋している乙女が、気になる男の相談に乗ろうとしているかのようだ。」
「!?」
「で?俺にその気になる男との橋渡しになれと?」
「ち、違うんです!これはあの、その、えーっと.....。」
「はい、そこまでー、ヘレナのターン終了ね。さ、戻るわよ。」
アリサにヘレナが引きずられていく。
何だったんだ?
・・・・・・・・・・・・・・・・
【勇者パーティー乙女の会】
「ちょ、ヘレナ!全然だめじゃない!」
「おかしいですね、この手の知識はあったはずなのですが.....。」
「参ったな、もう手段がないぞ。」
『........。』
「明日はギルドから指名の依頼だ。なんでもミネルネ地方に魔族が現れたらしい。」
「魔族ですか....。」
「いよいよね.....。」
「だがアレス君があの状況では正直不安だ。何とかできないものだろうか。」
「困ったわね。」
「あらあら....。」
「いざとなったら、私達でやるぞ。」
「そうね。」
「はい。」
セリス『アレス君、一体どうしたんだ......。』
アリサ『やっぱりあたしのせいなのかな.......。』
ヘレナ『アレスさん、どうしてしまったのでしょう......。』
アレス『あと少し、あと少しでできそうだ。』
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