第2話 裏の仕事?勘弁してくれ、それどころじゃないんだ
「今日は疲れたなあ。いや本当に。主にメンタルが。」
宿屋に着き、ベッドに横になる俺。
しかしマジですかあ...、たまげたなあ...。
だって、組織最弱の俺があの勇者パーティーの一員だぞ?
まさか勧誘されるなんて思わないじゃん?
まあ、荷物持ちだけど...。
にしても、勧誘突然すぎんか?宗教勧誘じゃねえんだからさ。
こっちは勇者に目つけられたと思って、マジで焦ったんだから。
そんなことを考えていると、窓の方に人の気配を感じた。
でも俺は身構えない。
なぜなら、この気配は組織の連絡役のものだからだ。
いや待てよ?組織の連絡役?まさか仕事とか言わねえよな?マジで勘弁してくれ...。今日だけは本当に。
「アレス様、ボスから仕事の依頼です。本日も街の賊を始末してほしいとのことです。」
案の定仕事じゃねえか!こっちは色々あって疲れてんだよ!主にメンタルが。
まあ賃金もらってるから断れないんだけどさあ。
いや、勇者パーティー入ったから断ってもいいのか?
一応聞くだけ聞いてみるか。
「賊の正体は?」
「情報によると、首領の名前はブラウニー=コルペン、人数の規模は50人ほどで、窃盗、強奪、放火、拉致の他に、人殺しもやっているそうです。
ほほ~う。
断ろうかとも思ったけど、流石に見過ごせないな。
なんたって、俺の金が窃盗される危険性があるしな。
よし、ぶっ殺したろ。
「大体の状況は理解した。早速依頼こなしてくるわ。」
「お待ちください、今回の仕事はペアでやってほしいとボスが言っておりました。」
ん?ペア?2人でってこと?
あれ、俺もしかして信用されてない?
これでも必死に頑張ってきたんだよ?
「それで、誰と組めばいいんだ?」
「先日入った新人、ミア=サーペントと組むようにと。」
新人!?え?俺新人に監視されながら仕事するの!?
新人より信用のない俺って...。
いや、虚しいだけだ、考えるのやめよ。うん、そうしよう。
「こちらは何の問題もない、待ち合わせの場所は?」
「この地図の待ち合わせ場所に行けば、彼女と合流できるとのことです。」
「オウケイ、わかった。あとはこちらに任せてくれ。とりあえずついでに飯行ってくるわ。んじゃ。」
アレスが去ったあと....
「流石【紅】ナンバーワンの実力の持ち主ね....。大規模な組織との戦闘のついでにご飯を食べにいくなんて。きっと彼にとってこの程度の仕事は朝飯前といったところかしら。ボスがミアの初任務に彼を同行させる気持ちがわかるわ。」
一人納得している連絡員の姿があった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一方アレスは....
「いやあ、道迷ったわ。」
道に迷っていた。
仕方ないよね?地図とか普段見ないし。
てかマジでここどこ?
やべえ、のんきに飯なんて食ってたから、新人の子待たせちゃってるんだろうなあ。
どうしよう...『噂には聞いてたけど本当に使えないんですね。』とか言われたら。
ああー、困ったなあ。
「おい、そこのお前!」
なんだ?声かけられたけど...まさか新人のミアか?
にしても、ミアって名前だから女の子かと思ったらただのおっさんじゃねえか。
まあ、とりま仕事の話をするか。
「そちらの話は聞いている。あんたも俺のことを知っているはずだ。」
「なっ、お前はまさか【紅】の!?」
おいおい、いくら新人だからってパートナーのことくらい認知しておこうや。
「さっさと終わらせようぜ。早く帰りたいんだよ、俺。」
「ちっ、なめやがって,,,!おおーい!侵入者だ!」
ん?侵入者?どゆこと?
その時、
「流石です先輩。敵地の情報を一切知らないはずなのに、もう突き止めてしまっているとは。」
え、何この子。
先輩?まさかとは思うが...
「君がミアか?」
「はい。先日組織に入った、ミア=サーペントです。今日が初任務でして、ボスに先輩と組むように言われました。」
んんん?あれ、じゃあこのおっさんは...
もしかしてただの賊!?
おいおい、マジかよ...
でもまあ、ミアが女の子でよかったわ。
「しかしまずいですね...、完全に囲まれてしまいました...。」
「いやあ、ゆうて50人弱ぐらいでしょ?一気に終わらせようぜ。ほら、俺疲れてて早く帰りたいし。」
俺は愛用している刀を取り出して戦闘態勢をとる。
そして一太刀。
すると、賊だけでなく、建物ごと切れ、崩壊していく。
ゴゴゴゴゴ
え?これまずくね?
「脱出するぞミア!」
「はっ、はい!」
ガシャーン
そして建物は完全に倒壊した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やべえ...。建造物破壊した上に、味方巻き込みそうになった...。
こりゃあボスに怒られるなあ....。
とりま、帰って寝よ。寝て忘れよ。
「よし、ミッションコンプリートだな!じゃあ俺はこの辺で失礼...。」
「待ってください!噂は本当でした。まさか建物まで切るとは...。」
「絶対にボスに俺がやったっていうなよ?面倒なことになるから。そうだ、今回の件は、君がやったことにしよう!うん、そうしよう。」
完全に擦り付けだわこれ。
すまない新人、これが社会だ。
「えっ、流石にそれは...。ボスにも正確に伝えないといけないですし...。」
「確かになあ。それはごもっともだ。」
よし、しばらくボスに会うのはやめよう。
なんだったら、裏の仕事休業しよう。
うん、それがいい。間違いない。
「悪いが、流石に(メンタル的に)疲れがたまっていてな。先に帰らせてもらう。」
「わかりました。ボスには私から伝えておきます。」
「あ、ああ、よろしく頼む。」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふぅー。疲れたなあ。」
主にメンタルが。そうメンタルが。ここ大事。
「今日は寝るかあ。」
俺は目を閉じ、眠りに落ちた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「アレスさんは噂通りの実力でした。彼がいなければ私は今ここにいられたかどうか...。」
「やはりアレスを同伴させたのは正しかったようだな。あいつの実力は私だけでなく、メンバー全員が認めている。」
「アレスさんを勧誘したのはボスですよね?やっぱり実力を見込んでのことですか?」
「ああ、彼の実力は私以上、そして勇者すらも凌ぐものだと思っている。我々、いや、世界にとって必要となるものだろう。とにかく報告ありがとう。次もよろしく頼むぞ。」
「はい、承知しました。」
『アレスか...久しぶりに会ってみたいものだな。』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アレス「ZZZzzz...」
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