勇者パーティーの荷物持ちの俺、実は裏社会最強だったらしい~尚、パーティーメンバーと距離を置きたいのになぜか奴らは俺に絡んでくる~

@poyupin

第1話 突然の勧誘!?え?俺でいいの?

俺の名はアレス。

裏稼業を生業としているものだ。

とある組織に所属しながら、日々裏の仕事に勤しんでいる。

しかし、自分で言うのもなんだが、成績はそんなに良くはない。

それもあって、いつも組織から任されるのは簡単な仕事ばかりだった。

今日はオフで仕事の依頼もなかったので、昼食を食べるため、いつも世話になっている露店に来たところだ。


「オヤジ~、いつものくれ。」


「おお、アレスじゃねえか!なんだか疲れてんなあ。ほらよ、ジャンボテリヤキンバーガー。」


「サンキュー、オヤジ。」


「昨日も仕事だったのか?」


「モグモグ...ん?ああ、ちょっと街の掃除をしてたんだ。」


「なるほどなあ、掃除ねえ...。お前さんも大変だなあ。」


「まあ別にいつものことだし、気にしてねえよ。それより、最近やたらすれ違う人にじろじろ見られるんだが、なんでなんだか。皆目見当もつかねえや。」


「お前なあ...。この街でお前のことを知らねえ奴はほとんどいねえぞ?なんたってあの組織、【紅】のナンバーワンなんだからな。」


「いや待て、【紅】のメンバーなのはともかく、ナンバーワンなんて初めて聞いたぞ?俺は常にランク圏外だし、ボスにも『お前は実力差がありすぎるから普通の仕事は任せれない。』って戦力外通告されたんだぞ?」


「ハァ~、その過小評価どうにかならねえのか?まあ、お前さんが鈍いのは今に始まったことじゃねえけどよ。」


そんなやり取りをしていると、突然声をかけられた。


「少しいいかな?君がアレス君かい?」


声のした方を見ると、甲冑に身を包んだ女性と、魔導着を着ている女の子、そしていかにも僧侶といったローブを纏った子がいた。


「君を探していたんだ。ギルドや宿屋を探し回ったんだがなかなか見つからなくてね。」


ん?この人たち何か見覚えが...。

あれ?これ勇者パーティーじゃね?えっ、俺勇者パーティに目を付けられること何かした?


ふと、店主の言っていたことが頭をよぎる。


やべえ、心当たりしかねえ...


「えっと、俺...ンッンン、僕はピーターと言います。何か御用で?」


「誤魔化さなくていい。君のことは知っている。単刀直入に言おう。アレス君、私たちのパーティーに入ってもらえないだろうか。」


「いや....それは誤解でして....ん?今何と?」


「あたしたちのパーティーに入ってって言ってるのよ。」


魔法使いの女の子が口をはさむ。


「いやあ、そんなこと言われましても、俺は一般人ですし...。」


「わかっているよ、君が正体を隠そうとする理由は。だがどうしても君の力が必要なんだ。頼むこの通りだ。」


急に頭を下げられて困惑していると、僧侶の女の子が言う。


「わたくしたちはあなたの正体も、実力も存じ上げているつもりです。だからこそわたくしたちのパーティーに入ってほしいのです。」


え、なに?この人たちは俺が【紅】で戦力外通告されているのを知っていて声かけてきてるの?正気か?

とりあえずここは冷静に対処になくては。


「つまり君たちは俺の実力(戦力外通告されたこと)をわかっていながら尚、俺のことを勧誘しに来たと?」


「ああ。(【紅】1番の)君の実力を買ってね。君のことは噂に聞いている。相当だそうだな。」


「確かに俺の実力は相当(酷い)ですが...、そりゃあ勇者パーティーの皆さんに比べたら誰だって雲泥の差ですよ。」


「なるほど....噂に聞いた通りだ。圧倒的な実力差を持ちながら、それを隠そうとするとは。」


「そりゃあ隠したくもなるでしょうね、その実力じゃあ。」


なんかまた魔法使いの子が会話の途中に挟んできたんだけど。

てか、え?なに?勧誘の話じゃなかったっけ?なんで俺けなされてるの?


「とにかく、俺は皆さんとパーティーを組むつもりはありません。実力差は明白ですし。」


絶対に足手まといになって、愚痴られる未来しかないわ。

どう頑張っても無理、うん無理。


「確かに(【紅】1番の)君と私たちでは実力差がありすぎる。そして君はその実力を隠そうとしている。どうしたものか....。」


いや、勇者さんや、みっともない実力見せびらかす方が恥ずかしくない?そりゃあ誰だって隠そうとするでしょうや。


「ではこういうのはどうでしょうか。」


なんか僧侶の女の子が勇者さんに耳打ちしているんだけど。え、何怖い。


「なるほど、それはいいな。アレス君!君の実力を隠したいという気持ちを考慮して、君の役職を荷物持ちにするというのはどうだろうか?」


んん?いや待てよ?実力を隠しながら勇者パーティーで働けるの俺?え?ありよりのありじゃね?

待て待て俺、まだ賃金のことを聞いてないぞ。これで『お前にやる金はない。』とか言われたらブラックにも程があるぞ。


「ンッンン、それで、報酬はいかほどで?」


大事なことだからな、しっかり聞いておかないと。


「一日50万ゼピスで考えているのだが...。」


「つまり俺(戦力外)の実力を1日50万で買おうということか?流石にそれは...。」


うん、申し訳なさすぎる。期待されてるかわからんけど応えられるきがしないわ。


「確かに君の実力に相応しくないな。では1日100万ゼピスでどうだろうか?」


100かあ...。ん?100万!?荷物持ちするだけでしょ?マジで?組織より楽に稼げるじゃん!やったぜ!


「契約成立ですな。」


俺はニヒルに笑いながら手を差し伸べた。

勇者さんはちょっと戸惑いながらも、俺の手を取った。


「そういえば、私たちの紹介がまだだったな。私はセリス。セリス=アルスバーンだ。勇者をしている。そしてパーティーの仲間たちの....。」


「アリサよ。アリサ=グレッツエン。勇者パーティーで魔法職を担当しているわ。」


なんだ魔法使い、お前アリサっていうのか。ハナシ=サエギリとかそういう名前だと思ってたわ。


「あんた失礼なこと考えてるでしょ?」


「んいやあ、まさかそんな訳...。」


え?何?心読んできたんですけど!怖すぎ、魔法使いかよ。あ、いや魔法使いだったわ。


「わたくしはヘレナ。ヘレナ=ルーバスと申します。ヒーラーを担当しています。まあ、あなたには必要ないかもしれませんが。」


ヘレナさんや、一言余計だね。確かに荷物持ちだけどさあ、何があるかわからないじゃん?


一応俺も名乗るか。


「自己紹介するまでもないと思うが、アレスだ。アレス=エングラム。役職は荷物持ちになるわけだが...期待するなよ?」


「改めてよろしく、アレス君。期待しているよ。」


ニコッ


いや、ニコッツじゃねえんだよ!期待するなって言ったばっかりだろうが!


こうして荷物持ちとして勇者パーティーの一員になった俺。

はてさてこれからどうなるのやら....。

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