第3話 一見さんお断り?よし、コネを使おう。

「ふぁあ、ああっよく寝たあぁ。」


ああ、そういえば今日から荷物持ちの仕事かあ。

楽な仕事で稼げるって最高だな!

そいやあ、待ち合わせ場所とか聞いてなかったなあ。

朝食がてら店の人にでも聞いてみるか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺は宿を出て、何かいい店がないか探す。

ジャンボテリヤキンバーガーもいいんだけどなあ。

たまには別のもん食いてえよなあ。


そう思いながら歩いていると、香ばしい匂いがしてきた。

匂いにつられて店に入る俺。

他の客が食べているものをチラ見する。

なんだあれは!?めっちゃ美味そうやんけ!

早速頼もうと思い、カウンターに向かうと何か張り紙が。

ん?なんだ?なんか書いてあるな。

えっと....、一見さんお断り?

マジかよ....めっちゃ食いてえのに....。

いや待てよ?ごり押しで行けるか?


「店主、いつものを頼む。」


とりあえずいつものって言っときゃあ大丈夫っしょ。


「聞かねえ声だなあ、お前さん一見さんだろ。一見さんに食わせる物ははねえよ。」


振り向かずに作業しながら答える店主。


くっそ、強引すぎたか?

仕方ない、他の店に行くしかねえか。


そう思い店を出ようとしたとき、店の扉が開かれ、3人の女性客が入ってくる。

そして声をかけられる俺。


「なんだ、アレス君じゃないか!君もここに朝食を食べに来たのかい?」


うわあお、まさかこんなところで勇者パーティーと会うことになるとは。

ん?待てよ?勇者パーティーと一緒ならワンチャン食えるんじゃね?

使えるコネは使わんと損やな。


「ああ、朝食を食べに来たんだが、一見さんお断りと言われてしまってな。どうしたものか...。」


届け!俺の『こいつ一応パーティーの仲間だから食わせてやってくれ』って言ってくれアピール!


「ふうむ、なるほど。私が少し店主と話してみよう。」


届いたあー!よかったあー!

俺が思わず感情を隠しきれずニヒルに笑っていると、


「あんた、キモイわよ。何その顔。」


魔法使いに見られてた。

やだ、もう恥ずかしくて穴に入りたい...。

てかアリサさんよ、なんか俺に対するあたり強くな~い?


「彼は私たちのパーティーの仲間なんだ。何とかしてもらえないだろうか?」


「いくら勇者パーティーの仲間でもうちは一見さんには食わせる物はねえよ。」


んだよ、この店主。頑固すぎだろ。勇者様がお願いしてるんだぞ?


すると、ヘレナが店主の方に向かい何かを耳打ちし始めた。

ぶっちゃけこの子が一番何考えてるかわかんないわ。

正直怖いね、うん。



『彼は【紅】のナンバーワン、失礼な態度をとるとこの店がどうなるか、補償はできませんよ?』



「な、なな、なんだって!?」


うおう、店主よ、急にうるせえな。


「おいあんた!いやアレス!すまなかった!この通りだ。知らなかったとはいえ、失礼な態度をとっちまってすまねえ。なんでも頼んでくれ。」


「一見さんお断りじゃあ...。」


「あんたをお断りしたら俺の店の存在がお断りされちまうんだよ!」


てか、さっきまでのクールな感じどこにいったんだ。

しかし『存在がお断り』って、ヘレナさんやいったい何を言ったんですかねえ...。

まあ、食えるんならいいか。


「俺は気にしていない。そうだなあ...オススメはなんだ?」


「うちのオススメは、チーズインチョベリバーグだ!中からとろっと出てくるチーズとハンバーグの肉汁の相性が抜群なんだ!」


チョベリバーグって....。

なんか不安になる名前だなあ...。

この店と店主色々と大丈夫か?

まあ見ていて美味そうだったし頼んでみるか。


「じゃあ、それを1つ頼む。」


「私もそれで。」


「あたしは、小さめのやつにして。」


「わたくしも同じものを。」


「あいよ!」


みんな同じの頼むんかい!

まあ別に構わんけど。

てかアリサお前、ダイエット中か何かか?

魔導着着てるから体系よくわからんけど。


「あんたまた失礼なこと考えてるでしょ?」


「いんやあ、まさか。」


「言っとくけどお腹すいてないだけだから。」


えっ、ナチュラルに心読むのやめてもらっていいですか?


・・・・・・・・・・・・・・・・


チーズインチョベリバーグができる間、俺たちは今日攻略するダンジョンについて話していた。


「私たちが今日攻略するのはカンパイーン洞窟だ。ヘレナ、地図を出してくれ。」


「こちらです。この街の北、ミネルネ地方に進み、高原を超えた先にあります。」


カンパイーン洞窟か...。

パインでカンパイーンなんつって(笑)


「アレス、あんたどうせ『カンパイーン洞窟だけにパインでカンパイーン』とかしょうもないこと考えてるんでしょ?」


「そんなくだらないこと考えるわけないだろう。」


やべえぇ!また心を読まれた!?

もうここまでくるとあんたそれパッシブスキルだよ!


「カンパイーン洞窟は攻略難易度B、私たち勇者パーティーなら難なく攻略できるはずだが....、最近奇妙な噂を聞く。なんでも、本来生息しないはずの大型モンスターの目撃情報がギルドに報告されているんだ。念のため皆注意を怠らないように。」


「厄介そうね...。」


「慎重にいきましょう。」



みんなが重々しい空気を漂わせる中、俺は『早くチーズインチョベリバーグ来ねえかなあ。』と思っていた。

いやだって、腹減ってるし?

昨日の夜から何も食べてないし?

仕方ないよね?


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ほい、待たせたな!チーズインチョベリバーグ4つだ。こっちが小さめのやつな。」


やべえ、めっちゃいい匂いするんだが?

早速頂こう。

どれどれ...はむっ、モグモグ...。

こ、これは!?

何たる業!?

一口食べただけで人を虜にするとんでもねえ食い物だ!


「気に入ってくれたみたいで何よりだ。ここのチョベリバーグは特に美味しくて評判なんだ。私も気に入っていてよく食べにくる。」


なるほど、確かにうまいな。

思わず飛びそうになったぜ。


「あら?アリサ、わたくしのチョベリバーグをそんなに見つめて、もしかして分けて欲しいの?」


「ちっ、違うわよ!食べきれないなら食べてあげようとしただけだし!?別にもっと食べたいとか思ってないし!?」


「いいのよ?ダイエット中だからって無理しなくても。はい、半分あげるわね。」


「しょうがないわね!仕方ないから食べてあげる!」


「ふふっ。」


なんだよ、結局ダイエット中だったんじゃねえか。

つるんでて思ったけど、この女、意地っ張りだな。


「違うからね!?」


俺の方見ながらなんか言ってるわ。

まあ、育ち盛りの女の子なんだしちゃんと食った方がいいよな。

そうしないと胸も....ゲフンゲフンこれ以上考えるのはよそう。


ジトー


「なんだアリサ?俺の分も欲しいのか?」


「違うわよ!あんたが失礼なこと考えてる気がしたから睨んでただけよ!」


え?何?またですか?

お前転職してその能力ほかのことに生かしたほうがいんじゃね?



・・・・・・・・・・・・・・・・


一方そのころ...


「アレスとの連絡はとれたか?」


「いえ、全く...。」


「あいつにはまだ昨夜の件の報酬を渡していない。それに個人的にも久しぶりに会ってみたいしな。捜索を続けてくれ。」


「了解しました。」


組織はアレスを探していた。



















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