第六話 日記⑤

私は、子供と二人、毎日家の中で過ごすようになった。

外に出ると娘は必ずといっていいほど気分が悪くなってお店の中で嘔吐しそうになる。

落ち着きもなくダメだと言っているのに何回も同じことをした。

私は人の目も気にせず頭ごなしに怒鳴り散らし、そのあまりの剣幕に周りの人は引いて

いる。

ハッとしてまた反省する。


やってしまった…


娘に「何度同じことをするんだ」と怒鳴った自分も何度も不特定多数の前で娘を怒鳴っているじゃないか。

人に言える立場か。

心の中で溜息をつき、もうしないようにしようと何十回目かの誓いをたてる。

だが、その誓いはもろくすぐ崩れてしまう。

だから私は外に出ることをやめた。


家の中にいるからといってストレスがなくなったわけではない。

遊び盛りの子供だ。


『ママ、遊んで!遊んで!』


という言葉は容赦ようしゃなくふりかかった。

私が調子の良いときは良かったけれど、

調子が悪いと小さなことで怒り、娘を泣かせてしまった。

泣き声にもイライラして思わず娘一人を残して外に飛び出したこともあった。

ドアの鍵の開け方を覚えたばかりの娘は泣きながら『ママ!ママ!』と叫び追いかけてくる。

その様子にも腹が立ち

「どうして家から出てきたの!危ないでし

 ょ!」

と勝手なことを言う自分。

嫌だ。嫌だ。こんな自分は嫌だ。

こんなはずじゃなかった。

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