第四話 日記③
出産してからというもの寝る暇もない。
赤ちゃんは3時間おきにミルクをあげなくてはいけない。
それが夜中の2時や朝方の4時であろうとも。
私の子供は特に寝ない子だった。
小さな音でも起きてしまいオギャーオギャーと泣いてしまう。
抱っこしてあやし、寝たと思ったらもう次のミルクの時間だ。
毎日フラフラの状態で育児や家事をやった。
それでも…、それでも我が子は可愛い。
小さな手をパタパタと動かし、黒く澄んだ瞳であたりを見回す、オムツからちょこんとでている短い足も可愛くてたまらない。
でも、あんなに子供を望んでいた彼は…
子育てのやり方が分からないのかあまり手伝ってはくれなかった。
むしろ「子供が生まれたお祝いだ!」などと
同僚や友人達に誘われ飲み歩き、帰ってくるのは朝方だ。
吐くまで飲んではそのまま布団へ直行して
いた。
そして、全く眠っていない私に向かって
「あー!よく寝た!」
と言いながら起きてくるのだ。
その一言にイライラするが、私は我慢して
いた。
何度か飲みに行くのを減らしてほしいことや育児を手伝ってほしいことを伝えたが、
「付き合いがあるから」
「お祝いだって言ってくれてるのに断れな
いよ」
という答えが返ってきた。
確かに彼の言うことが分からないわけじゃ
ない。
職場での人間関係がギクシャクしたら居づらいだろう。
ただ、お祝いは一番大変な今の時期じゃなくてもいいんじゃないだろうか?
優先順位が間違ってないか?
その言葉に私の体調や育児よりも飲み会のほうが大切なんだと思わずにはいられなかった。
この人には…もう頼めないな…
私は、諦めた。
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