第三話 日記②
出産まで大変な毎日を過ごした。
妊娠は順調ではなく、
妊娠ってこんなに辛いものなのか…
絶対安静を言い渡された私は病院のベットで
悪い事ばかり考えては泣いていた。
退院してからも予断を許す状況ではなく、
歩くとすぐにお腹が張って苦しくなってし
まう。
まだ産まれてはいけない。
今産まれたら保育器かもしくは最悪の場合、
生まれた瞬間に命を落としてしまう。
お腹が大きい為、体も重く動くことは
困難だ。
赤ちゃんや羊水、胎盤などを合わせると10キロは軽くあるであろう重さが足にずっしりとのしかかる。
立っているだけでも辛い。
臨月に入ってすぐだった。
ソファに座って休んでいるとそれは突然やってきた。
下腹部に今まで味わったことのない痛みが走ったのだ。
これはおかしい。
慌ててトイレへ向かうと破水していた。
まだ予定日まで2週間あるというのに…
彼氏から旦那へとなった人に破水したことを告げ、急いで病院へ電話して準備していた入院の荷物を持って向かう。
陣痛はなかなかやってこず、陣痛促進剤を使いながら10時間以上かかって出産した。
もう体もボロボロで話す元気もない…
でも、隣を見ると体が冷えないようにと暖められているベットに寝かされた我が子が
小さな手足をバタつかせて一生懸命泣いて
いる。
あー、生まれたんだ。
この世に生まれてきたんだ。
無事でよかった。
まだ母親になったという実感はないけれど、
想像を絶する痛みを必死に耐えて産んだんだという達成感はあった。
でも、どうして赤ちゃんはこんなにも泣くのだろう。
その涙は、母胎と離れることへの悲しさか。
もしくはこれからやってくる“人生”への嘆きなのか…
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